interview ＆ text：オヤマダアツシ
photos：藤本史昭
若くしてスケールの大きな音楽家である。身長190cmちょっと（本人談）という体格にも目を見張るが、もちろん大きいのは音楽。オーパス・ワンというレーベル（日本コロムビア）からCDデビューも果たしたチェリスト、笹沼樹の人物像に迫る。Part1から続くインタビューの続編。
──音楽から離れて、なにか趣味はありますか。それとも、これを抜きにして笹沼樹は語れないよということがあれば、ぜひ。
いろいろあるんですよー。何からお話ししましょうか？
──ここで、同席した日本コロムビアのスタッフから「彼の食べものインスタはすごいですよ。みんな茶色い料理ばかりですけど」という情報が
“カレー巡り”と“カルボナーラ巡り”は欠かせませんね。食べた記録をインスタグラムにアップしているんです。友人などに『どこかおいしいレストラン、ない？』って尋ねられたとき、すぐに『あの店の、あの料理がいいよ』って答えられるオトナになりたくて。あとは、そうですね……イメージ的にどうかはわかりませんが、クマのぬいぐるみが好き。ヨーロッパの街などで購入したり、シュタイフ（注：テディベアで有名なドイツのぬいぐるみメーカー）のミュージアムにも行きました。プーさんも好きですし、犬ですがスヌーピーも好き。
笹沼 樹のインスラグラムはこちら↓
https://www.instagram.com/tatsuki_sasanuma/
──それ書いちゃうと、プレゼント攻勢かもしれませんよ。
それから『スター・ウォーズ』も好きなんです。リアルタイムで観たのはエピソード2からですけれど、最初はつかみどころがなく、どこが面白いのかわかりませんでした。中学生のときにエピソード4を観たとき、初めてこのシリーズの考え抜かれた人物相関や壮大な時間のつながりなどがわかり、そこからドはまり。特にダース・ベイダーが大好きで、ルックスもですが、彼が背負っているシスの精神とか、息子のルークと戦わなくてはいけなかった運命とか、すべてに惹かれます。フィギュアなども集めていますよ。でも、ダース・ベイダーにはマロ先生というコレクターの大先輩がいますからね。一度、貴重な指輪を二つ買われたらしく、一ついただいたんです。あれはうれしかった！
──おしまいにCDのことをもう少々。選曲はやや変化球も交えての小品集ですね。
カサドやポッパー、フォーレなどは以前から弾いてきた曲で、ショパン（ノクターン第20番）やサン＝サーンス（歌劇《サムソンとデリラ》のアリア）は、聴いていて共感したり心を動かされた曲で、チェロで演奏してみたかったんです。チェリストとしての今の自分をストレートに伝えたいというチョイスですね。ほかにもショパンやラフマニノフのチェロ・ソナタ、カサドやコダーイ、リゲティの無伴奏作品など、これから聴いていただきたい曲はたくさんあります。
──作曲を勉強している友人もたくさんいると思いますが、そのうち自分のために新曲を書いてもらうということも考えていますか。
そういう機会があればいいなと思います。同世代ではないですが、藤倉大さんと『個展』のコンサートでご一緒したときは、作品や演奏家への向き合い方などに感銘を受けました。実際のリハーサルに入る前もスカイプなどを使って綿密にディスカッションをしていただけますし、自分も創作の現場にいるんだなと実感できるんです。自分と作品の距離も縮まりますし、ステージに上がるまでの時間がとても濃厚で、幸福な気持ちになれるんです。
──これからの活動も楽しみにしています。
ソロやカルテット、そしてオーケストラ・コンサートなどいろいろ弾いていますので、たくさんの方にコンサートへいらしていただけるとうれしいです。
Profile
笹沼 樹（Sasanuma Tatsuki）
ARDミュンヘン国際コンクール弦楽四重奏部門第3位。ソロでは東京音楽コンクール第2位、日本音楽コンクール入選。室内楽奏者としても横浜国際、ルーマニア国際、ザルツブルク＝モーツァルト国際などのコンクールで優勝。
桐朋女子高等学校音楽科を首席卒業後、桐朋学園大学ソリストディプロマコース修了、並びに学習院大学文学部卒業。現在、桐朋学園大学大学院に在籍中。2017年6月に開催したリサイタルは天皇皇后両陛下をお迎えしての天覧公演となった。V.アダミーラ、古川展生、堤剛の各氏に師事。カルテット・アマービレ、ラ・ルーチェ弦楽八重奏団のメンバー。
笹沼 樹 公式ウェブサイト
https://www.sasanumatatsuki.com/
日本コロムビア Opus One
https://columbia.jp/opusone/
CD『【Opus One】親愛の言葉』
日本コロムビア
COCQ-85447 ￥2000＋税