ルートヴィヒ・クヴァント(チェロ)&ゲルハルト・オピッツ(ピアノ)、ドイツが誇る巨匠が夢の共演!

左:ルートヴィヒ・クヴァント ©Hoederath
右:ゲルハルト・オピッツ ©HT/PCM

 これはドイツ正統派の真髄をたっぷりと味わえるコンサートだ。まずチェロのルートヴィヒ・クヴァントは、ドイツのウルムに生まれ、フルトヴェングラー時代のベルリン・フィルの名チェリスト、トレスターの最後の生徒としてリューベック音大で学び、1991年ベルリン・フィルに入団。93年より第1ソロ・チェリストを務めている。すなわち“世界最高峰”オーケストラのトップ奏者だ。一方ゲルハルト・オピッツは、同じくドイツのバイエルン州に生まれ、巨匠ケンプに学んだ正統派ピアニスト。その源流はリストやベートーヴェンまで直接遡るというから本流の出以外の何ものでもない。

 今回は両者が組んで、ベートーヴェン(第1番)、ショスタコーヴィチ、ブラームス(第2番)のチェロ・ソナタを披露するので、本場の伝統を体感させてくれること間違いなしだ。しかもうち2曲の正しい表記は「ピアノとチェロのための」ソナタゆえに、ピアノ・パートが極めて重要なのは自明の理。その点で名手オピッツの存在は心強いし、中でも彼はベートーヴェンとブラームスにおける“世界最高”の演奏者の一人だけに、両曲の真骨頂を必ずや伝えてくれる。またショスタコーヴィチは、クヴァントがアバドのタクトでベルリン・フィルでのソリスト・デビューを飾った際の作曲家(協奏曲第2番)。彼はコダーイやリゲティの無伴奏ソナタ等のCDでも力みのない快演を聴かせているので、近代ものも真価発揮に相応しいレパートリーだ。

 古典派、ロマン派、近現代のチェロ・ソナタを正攻法の演奏で味わえるこの貴重な機会を逃してはならない。

文:柴田克彦

(ぶらあぼ2026年10月号より)

ルートヴィヒ・クヴァント(チェロ)& ゲルハルト・オピッツ(ピアノ) デュオ・リサイタル
2026.11/10(火)19:00 TOPPANホール
問 パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831
https://www.pacific-concert.co.jp


柴田克彦 Katsuhiko Shibata

福岡県生まれ。音楽マネージメント勤務を経て、フリーの音楽ライター・評論家&編集者となる。雑誌、コンサート・プログラム、Web、宣伝媒体、CDブックレットへの、取材・紹介記事や曲目解説等の寄稿、プログラム等の編集業務を行うほか、講演や講座も受け持つなど、幅広く活動中。著書に『山本直純と小澤征爾』(朝日新書)、 『1曲1分でわかる! 吹奏楽編曲されているクラシック名曲集』(音楽之友社)。