【SACD】R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」 /川瀬賢太郎&名古屋フィル

川瀬賢太郎と名古屋フィルの充実した関係を実感させる「英雄の生涯」である。冒頭から颯爽として、しなやかでダイナミックな川瀬の指揮姿が目に浮かぶ。川瀬は2017年に神奈川フィルとも同曲を録音しており、10年置かずの再録音はカラヤンより間隔が短い。いずれも快演だが、当録音はより緩急と振幅が大きく感じられる。小川響子の独奏ヴァイオリンも闊達で意志的だ。「英雄が人生を振り返る」曲ならばより重々しく? その必要はないだろう。85歳まで生きたシュトラウスがこの曲を書いたのは34歳の時なのだ。この演奏の終結部もまた、未来へと開かれている。

文:矢澤孝樹

(ぶらあぼ2026年11月号より)

【information】
SACD『R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」/川瀬賢太郎&名古屋フィル』

R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」

川瀬賢太郎(指揮)
名古屋フィルハーモニー交響楽団
小川響子(ソロ・ヴァイオリン)

収録:2026年2月、愛知県芸術劇場コンサートホール 他(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00642 ¥3850(税込)


矢澤孝樹 Takaki Yazawa

1969年山梨県塩山市(現・甲州市)生。慶應義塾大学文学部卒。水戸芸術館音楽部門主任学芸員を経て現在ニューロン製菓(株)及び(株)アンデ代表取締役社長。並行して音楽評論活動を行い、『レコード芸術online』『音楽の友』『モーストリークラシック』『ぶらあぼ』『CDジャーナル』にレギュラー執筆。朝日新聞クラシックCD評選者および執筆者。CD及び演奏会解説多数。著書に『マタイ受難曲』(音楽之友社)。ほか共著多数。