
ウィーンと日本を行き来して活躍するピアニストの菊池洋子が、10月にはチェリストのヨハネス・モーザーとデュオ・リサイタルを行う。モーザーとは初共演となるが、お互いウィーンでの住まいが近いこともあり、共通項も多そうだ。
浜離宮朝日ホールでの公演(10/20)では、シューマンの「幻想小曲集」、シューベルトの「アルペジョーネ・ソナタ」、ペルトの「鏡の中の鏡」、ブラームスのチェロ・ソナタ第1番という、ロマン派中心の聞き応えのある選曲となっている。ペルトは現代の音楽に情熱を注ぐモーザーの希望だという。
菊池は浜離宮朝日ホールでは、2006年のソロ・リサイタル以来、ランチタイムコンサートに三度登場しており、「響きがとても心地よく、室内楽にぴったりのホール」と語る。
「昔からブラームスのチェロ・ソナタが大好きで、いつか素晴らしいチェリストの方とご一緒できたらいいなと思っていました。室内楽ではヴァイオリン・ソナタやピアノ三重奏曲などは弾いてきましたが、チェロ・ソナタはまだ演奏の機会がなくて——そういえば、いちどバボラークさんとホルン版は弾きましたが。ブラームスの情熱や包み込んでくるような音楽が、チェロの音色でより引き出されると思います」
室内楽はイモラ音楽院時代から力を入れてきており、ラデク・バボラークやライナー・ホーネックといった名手とも共演を重ね、厚い信頼を得てきた。
「バボラークさんにしてもホーネックさんにしても、公演の一ヵ月前からその一つの演奏会に向けて10回ぐらいリハーサルしたりするんですよ。その音楽への情熱というのがすごくて。そういう方たちと一緒に演奏することが私の喜びでもあり、学びでもあり、すごく刺激を受けますね」
今春にはバレエの名曲を集めたCD『バレエ・ファンタジー』をリリースするなど、菊池はバレエ好きとしても知られるが、最近ではウィーン国立バレエ団の公演でピアノ・ソリストを務めている。3〜4月のマルティヌーのピアノ協奏曲第1番に続いて、来季はラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」を弾く。同バレエ団の芸術監督アレッサンドラ・フェリとかつて東京の世界バレエフェスティバルで同じ舞台に立ったことがあり、そのときの縁が今回つながったのだという。今後ウィーンでの活動の幅がさらに広がりそうだ。
「秋のモーザーさんとのリサイタルも、シューベルトやブラームスなどウィーン・プログラム的なところがありますので、二人でウィーンの風をお届けできたらと思っています。ぜひいらしていただけたら嬉しいです」
取材・文:後藤菜穂子
(ぶらあぼ2026年9月号より)
ヨハネス・モーザー(チェロ)& 菊池洋子(ピアノ) デュオ・リサイタル
2026.10/20(火)19:00 浜離宮朝日ホール
問 朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/
他公演
10/11(日) 高崎芸術劇場 音楽ホール(高崎音楽祭事務局027-322-9195)

後藤菜穂子 Nahoko Gotoh
桐朋学園大学音楽学部卒業、東京藝術大学大学院修士課程修了。音楽学専攻。英国ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ博士課程を経て、現在ロンドンを拠点に音楽ライター、翻訳家、通訳として活動。『音楽の友』、『モーストリー・クラシック』など専門誌に執筆。訳書に『〈第九〉誕生』(春秋社)、『クラシック音楽家のためのセルフマネジメントハンドブック』(アルテスパブリッシング)他。
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