ウィーン・フィルの名手トリオで聴く、作曲家若き日の創意

 ウィーン・フィルのコンサートマスターを務めるフォルクハルト・シュトイデ。彼を中心に、ウィーン・フィルの中核メンバーであるヴィオラのエルマー・ランダラー、チェロのヴォルフガング・ヘルテルによる弦楽三重奏団。ウィーンの伝統を受け継ぐシュトイデ四重奏団のメンバーだが、今回は3つの楽器が対等に会話を重ねていく弦楽三重奏曲を3曲演奏する。

 一曲目は、歌心に満ちた旋律が次々に紡がれるシューベルトの弦楽三重奏曲第2番。ドホナーニの弦楽三重奏のためのセレナーデは、後期ロマン派の濃密な響きとともにハンガリーの民族色も豊かな作品だ。そして、軽やかな機会音楽のスタイルのなかに、新しい時代を拓く要素をちりばめるベートーヴェンの弦楽三重奏のためのセレナーデ。いずれも、作曲家が20代で書いた作品だ。そのフレッシュさを謳歌しつつ、ウィーンならではの情感も加わった、息の合ったアンサンブルを聴かせてくれることだろう。

文:鈴木淳史

(ぶらあぼ2026年10月号より)

第576回 日経ミューズサロン フィルハーモニックトリオ・ウィーン
2026.11/13(金)18:30 日経ホール
問 日経公演事務局03-5227-4227
https://art.nikkei.com


鈴木淳史 Atsufumi Suzuki

雑文家/音楽批評。1970年山形県寒河江市生まれ。著書に『クラシック悪魔の辞典』『背徳のクラシック・ガイド』『愛と幻想のクラシック』『占いの力』(以上、洋泉社) 『「電車男」は誰なのか』(中央公論新社)『チラシで楽しむクラシック』(双葉社)『クラシックは斜めに聴け!』(青弓社)ほか。共著に『村上春樹の100曲』(立東舎)などがある。
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