上岡敏之(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

シューマンの馥郁たるサウンドを二大傑作で堪能する


 新日本フィルとの最後のシーズンを迎える上岡敏之による得意のシューマン・プログラム。
 シューマン「ピアノ協奏曲」を弾くのは、フランス人ピアニスト、クレール=マリ・ル・ゲ。1998年度“ヴィクトワール ドゥラ ムジーク”賞を受賞、バレンボイムとの米国ツアーをはじめ、クレーメルやデュメイ、ケラスと共演するなどヨーロッパとアメリカで高い評価を受けている。

 上岡とは昨年ラヴェル「ピアノ協奏曲」で共演しており、二人の信頼の絆は深い。理知的で清冽なタッチのル・ゲと、ピアニストでもある上岡が、ピアノ協奏曲の最高峰のひとつでいかなる高みに達するのか、興味は尽きない。

 後半は、シューマンが1850年に作曲した傑作、交響曲第3番「ライン」。この年シューマンはライン河畔にあるデュッセルドルフ市の音楽監督に任命され、ドレスデンから転居してきた。

 「ライン」はシューマンがつけたタイトルではないが、シューマンが受けた明るく快活なライン地方の印象が反映されていることは確かだ。当初第2楽章は「ライン河の朝」と題され、第4楽章はケルン大聖堂にインスピレーションを得て「荘厳な儀式の伴奏の性格で」と記されたが、いずれも後に削除された。

 上岡は新日本フィルと2年前に第1番「春」をとりあげたが、ふくよかで透明感のある響きの中に、旋律を美しく歌わせる手腕が光っていた。聴くたびに進化を感じる上岡のことだから、「ライン」はさらに新鮮な解釈を聴かせてくれることだろう。大いに期待したい。
文:長谷川京介
(ぶらあぼ2020年9月号より)

第626回 定期演奏会 トパーズ〈トリフォニー・シリーズ〉
2020.10/30(金)19:15、10/31(土)14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 
https://www.njp.or.jp

*新型コロナウイルス感染症の拡大の影響に伴う海外からの入国制限措置により、下記のとおり出演者、曲目を一部変更して開催することとなりました。(8/19主催者発表)
詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

指揮:秋山和慶
ヴァイオリン:上原彩子

シューマン:劇音楽『マンフレッド』op.115 序曲
ピアノ協奏曲 イ短調 op.54
交響曲第3番 変ホ長調 op.97「ライン」