未来の音 vol.31 チェルカトーレ弦楽四重奏団

ロマン派のカルテットの傑作群を若き4人が濃密に描く

左より:牟田口遥香、中村詩子、戸澤采紀、関 朋岳

 若きカルテットがひたむきに“探究”する瑞々しいハーモニーを体感したい。注目の新進演奏家を紹介するシリーズ「未来の音」に、関朋岳と戸澤采紀(ヴァイオリン)、中村詩子(ヴィオラ)、牟田口遥香(チェロ)と、ソリスト級の俊英たちで組織された「チェルカトーレ弦楽四重奏団」が登場。ドイツ・ロマン派の佳品の数々を、覇気に満ちたプレイで綴る。

 同四重奏団は2017年4月、東京音大、東京藝大、東京藝大附属高校に在学中の4人で結成。妥協せず、奥深い弦楽四重奏を究めたいと、イタリア語で「探究者」を意味する「チェルカトーレ」を団体名に冠した。第15回ルーマニア国際音楽コンクールのアンサンブル部門で、最高位の第2位に。現在は全員が大学に在籍中で、さらなる研鑽を積んでいる。

 「弦楽四重奏の最大の魅力は、迫力と繊細さの共存。土台となる低音、旋律的な高音、その間を縫う内声が時に交錯し、新たな響きを作り出します」と戸澤。「私たちは第1・第2ヴァイオリンを、曲によって交代するので、ぜひその音色の違いを感じながら聴いていただければ」と語る。

 ステージでは、まず、単一楽章ながら、非常に密度の濃いシューベルトの「四重奏断章」こと第12番を。そして、シューマン自身が「最上の作品」と述べた3曲の弦楽四重奏曲の中でも、最も緻密で人気の高い第3番を披露。さらに、メンデルスゾーンが、ベートーヴェンの死後、楽聖へのオマージュを込めて書いたとされる第2番ほか、「心から共感の念を覚える」(牟田口)という4曲を弾く。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2020年8月号より)

*本公演は感染症の状況から判断し、座席の間隔を空け、より安心してご鑑賞いただくため、会場を小ホールから大ホールに変更しての開催となります。
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

2020.9/26(土)15:00 めぐろパーシモンホール(小)
問:めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904
https://www.persimmon.or.jp