高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

オルガンとオーケストラの華麗な融合


 常任指揮者就任から5年を経た高関健のもとで、濃密かつ生気に充ちた快演を繰り広げている東京シティ・フィル。当コンビは筋が通ったプログラミングも魅力だ。9月の定期演奏会はまさにそう。ここには、バッハ、ジョンゲン、フランクという“オルガニスト”作曲家による“オルガン的”な作品が並んでいる。

 まずはバッハ(エルガー編)「幻想曲とフーガ ハ短調」。原曲は高貴なオルガン曲だが、後期ロマン派色全開の編曲が実に面白い。多数の打楽器を駆使したサウンドはエルガーとは思えぬほど華麗でド派手。これは一聴の価値大だ。おつぎのジョンゲン「オルガンと管弦楽のための協奏的交響曲」は今回の目玉ともいえる1曲。フランクの息子世代にあたるベルギーの作曲家によって1926年に作られた本作は、全4楽章にわたって多彩な楽想が続き、ある奏者いわく「万華鏡のような音楽」が展開される。オルガンは終始弾きっぱなしで、ソリストであると同時にオケの一員でもある点が独特の妙味。性格上生演奏でこそ真価を味わえる作品だけに、この機会は見逃せない。独奏は“オルガン界の彗星”福本茉莉。5つを超える国際コンクールで優勝し、ドイツを拠点にヨーロッパで活躍しながら、多様な分野に挑戦している彼女のソロも大注目だ。そしてジョンゲンと同じベルギー出身の先輩フランクの名作「交響曲ニ短調」。オルガン風の重厚さと美麗な旋律を持ち、作曲者お得意の循環形式が光る本作では、高関一流の比類なき構築力が存分に発揮されるであろう。

 ここは、東京オペラシティの特性にもピッタリのオルガン(的)サウンドを、大いに堪能したい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2020年7月号より)

第336回 定期演奏会
2020.9/26(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 
https://www.cityphil.jp