俊英が奏でる様々な「幻想」を聴く
藤田真央は2017年、わずか18歳にして第27回クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝し、聴衆賞をはじめ多くの特別賞を受賞。19年にはチャイコフスキー国際コンクールでも第2位を受賞し、全世界から注目を集め、愛されるピアニストとなった。
自然体な演奏、奏でられる音の美しさ、歌心の豊かさが魅力の藤田のリサイタルは幅広いレパートリーと個性的なプログラミングが特徴的だが、今回は「幻想」をテーマに設定。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第13番「幻想曲風」で開始すると、ロシアの空気を存分に感じるチャイコフスキーの「ドゥムカ」や、アルカンの超絶技巧作品「イソップの饗宴」など、バラエティに富んだ内容が展開していく。あらゆる“幻想”の世界、ピアノ音楽の様々な可能性の探求を楽しめるとともに、超絶技巧を純粋な音楽表現へと自在に昇華させることのできる、稀少な藤田のピアニズムを存分に味わえる公演だ。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2020年8月号より)
2020.9/17(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212
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