高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

戦後の楽壇に大きな役割を果たした先人へのオマージュ

高関 健
C)金子 力

 2019年は戦後の日本のオーケストラ界を牽引した指揮者・渡邉曉雄の生誕100年。日本フィル創設に尽力するとともに、東京藝大でも教鞭をとった渡邉は、戦後音楽の発展を導いた立役者の一人。東京シティ・フィルと常任指揮者・高関健との1月の定期演奏会は、その先達に捧げられる。

 カラヤン指揮者コンクールに優勝し海外武者修行に出た高関は、1985年、渡邉の推薦で帰国デビューを飾った。96年には渡邉曉雄音楽基金音楽賞を受賞してもいる。また東京シティ・フィルと言えば、首席客演指揮者の藤岡幸夫も渡邉の最後の弟子として知られる。その意味でもこのオケは、渡邉のDNAを色濃く受け継いでいると言えよう。

 さて、演奏会ではメンターゆかりのプログラムを並べた。まず渡邉の肝いりで始まった邦人作曲家への新作委嘱シリーズ「日本フィル・シリーズ」で演奏された曲目から2曲。渡邉の意気を感じた若手たちが力作を続々と書き下ろし、名曲・重要作が生まれていった。戦後世代の作曲家にとって、このシリーズはどれほど大きな刺激になったか知れない。その中から記念すべき第一作、矢代秋雄「交響曲」(1958)と第五作、柴田南雄「シンフォニア」(1960)。

 後半はシベリウスの交響曲第2番。フィンランド人を母に持つ渡邉にとって、シベリウスは自らのルーツにある作曲家。その音楽を終生愛し、レパートリーとした。私たちは渡邉を通じてシベリウスを深く知り、理解したといっても過言ではない。
 高水準にある日本のクラシック音楽も、先人たちのたゆまぬ努力の上に成り立っている。その功績に思いを馳せよう。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2020年1月号より)

第330回 定期演奏会 
2020.1/18(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 
https://www.cityphil.jp