躍進重ねるシューマン・クァルテットが、サントリーホールでベートーヴェン四重奏曲全曲を披露!

©Harald Hoffmann

 今年も6月にサントリーホールのブルーローズ(小ホール)を舞台とした室内楽の祭典「チェンバーミュージック・ガーデン」(CMG)が開催される。CMGの名物企画といえば、「ベートーヴェン・サイクル」。毎回、異なる四重奏団が招かれ、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を演奏する。

 今回登場するのは、2007年にドイツのケルンで結成されたシューマン・クァルテット。作曲家シューマンにちなんだ団体名かと思いきや、実は演奏者名がシューマンなのだ。マーク、エリック、ケンのシューマン3兄弟に、今井信子の薫陶を受けたヴィオラ奏者、ファイト・ヘルテンシュタインが加わる。シューベルト&現代音楽国際コンクールやボルドー国際弦楽四重奏コンクールで優勝を果たし、ウィーン楽友協会など欧州各地の名門ホールで演奏を重ね、国際的なキャリアを急速に築いている団体だ。第一ヴァイオリンのエリック・シューマンはソリストとしても活躍する。ちなみにシューマン兄弟の母親は日本人であり、ルーツを持つ日本での檜舞台ということになる。

 シリーズは全6公演からなる。シューマン・クァルテットは初期の作品18の6曲に後年の作品の萌芽を見出し、6曲を全公演にわりふって、各作品の性格に応じた中期や後期の作品を組み合わせている。たとえば第4番ハ短調であれば、ベートーヴェンの影の部分に着目して、第11番「セリオーソ」と第14番嬰ハ短調を組み合わせる、といったように。好奇心を刺激する興味深いプログラミングだ。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2025年4月号より)

サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン 2025
シューマン・クァルテット ベートーヴェン・サイクル I~VI

[I]2025.6/11(水)19:00
[II]6/12(木)19:00
[III]6/14(土)19:00
[IV]6/15(日)14:00
[V]6/17(火)19:00
[VI]6/18(水)19:00
サントリーホール ブルーローズ(小)
問:サントリーホールチケットセンター0570-55-0017
suntoryhall.pia.jp
※プログラムの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。