バロックからラヴェルまで〜バレエ音楽に聴く色彩の魅力
2016年の初共演以来、3シーズンぶりの登場となるフランソワ=グザヴィエ・ロト。今回はフランス・バレエ音楽を集めた凝ったプログラミングで、切れ味鋭い解釈を見せた前回からさらに磨きがかかりそう。
前半はバロック作品を二つ。ラモー「優雅なインドの国々」組曲。青春や美の神々のもとにヨーロッパ各国から青年たちが集い、キューピッドたちが世界へと遣わされる。インドとはヨーロッパ以外の地域のことを指し、ラモーの想像力がとらえたバロック的コスモポリタニズム、エキゾティシズムが楽しめる。
ルベル「四大元素」は、現代音楽を思わせるすさまじい不協和音で始まる。これは天地開闢(かいびゃく)前のカオスを表しているのだが、知らずに聴くとびっくりするに違いない。地、水、火、大気が様々な舞曲へと発展し、命が躍動する。
後半は「ダフニスとクロエ」。バロック的感性に終生シンパシーを抱いていたラヴェルが、魔術的なオーケストレーションの粋を尽くして古代ギリシャの神話的世界を描き出す。合唱付き(栗友会合唱団)の全曲版という豪華さだ。
ロトと言えば、若いころはガーディナーの助手を務め、03年からは楽曲をその同時代の楽器で演奏する管弦楽団レ・シエクルを創設。とりわけクラシック・モダンの名品を当時の楽器で演奏することで、現代と地続きのように思われていた歴史の層を浮かび上がらせた(「ダフニスとクロエ」もレ・シエクルで録音済み)。今回はモダンオケでのアプローチとなるが、都響の性能をぎりぎりまで引き出してくれるだろう。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2020年1月号より)
都響スペシャル
2020.2/2(日)14:00 サントリーホール
第896回 定期演奏会Aシリーズ
2020.2/3(月)19:00 東京文化会館
問:都響ガイド0570-056-057
https://www.tmso.or.jp