ヤクブ・フルシャ(指揮) 東京都交響楽団

俊英が迫るチェコ音楽の真髄

(c)堀田力丸

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 ヤクブ・フルシャと東京都交響楽団のコンビが評判を呼んでいる。フルシャは1981年チェコ出身の気鋭の若手指揮者。2010年に都響のプリンシパル・ゲスト・コンダクターに就任し、以来度々の共演を重ねている。この6月にはR.シュトラウスの「アルプス交響曲」他で爽快な演奏を聴かせてくれたばかり。
 そのフルシャと都響が11月に意欲的なチェコ・プログラムを披露する。ドヴォルザークの「弦楽のための夜想曲」、マルティヌーのオーボエ協奏曲、スークの交響曲第2番「アスラエル」と、興味深い3曲が並んだ。新古典主義風のクールで軽快な佳品、マルティヌーのオーボエ協奏曲では首席奏者の広田智之がソロを務める。
 最大の聴きものはスークの交響曲第2番「アスラエル」。フルシャが「チェコ音楽の歴史のなかでももっとも深遠な作品」と呼ぶ大作である。アスラエルとは死を司る天使のこと。作曲者スークは師ドヴォルザークの娘と結婚した。30歳の年、ドヴォルザークが急逝し、悲嘆に暮れたスークは師を悼んでこの「アスラエル交響曲」を作曲した。ところが第4楽章まで作曲したところで、今度はスークの妻が若くして亡くなってしまう。全5楽章からなる交響曲の最初の3楽章はドヴォルザークの思い出に、最後の2楽章は妻に捧げられることになった。
 スークの最高傑作に寄せるフルシャの共感が、客席に深い感銘をもたらしてくれることだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2013年8月号から)

第760回定期演奏会 Aシリーズ
★11月19日(火)・東京文化会館
問:都響ガイド03-3822-0727
http://www.tmso.or.jp
ローチケ Lコード32949

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