アンドリス・ネルソンス(指揮) バーミンガム市交響楽団

ブレイク中の俊英指揮者、手兵と共に現る

 バーミンガム市響といえばラトルのもとで世界的な楽団へと成長を遂げ、ラトルもベルリン・フィルに転出するという、“幸運の女神”に見初められたオーケストラ。そして次につかんだ“宝石”が、2008年より音楽監督を務めているアンドリス・ネルソンスだ。30代半ばだが現在大ブレイク中で、世界のトップオケや名門歌劇場からオファーが引きもきらない。来年からはボストン響の音楽監督にも就任する。
 この人、オーケストラをきちんと鳴らす基礎力に加えて、パワフルでエネルギッシュな指揮ぶりはどこか同郷の師匠ヤンソンスを思わせる。だがその音楽には個性的なえぐみもあり、ウィーン・フィルやベルリン・フィルを相手にしても、物怖じせず堂々と自分の音楽をやってしまうという度胸の持ち主でもある。バーミンガム市響との共演も5年目に入るが、あの鮮烈・精緻なサウンドがどう変貌しているのだろうか。
 プログラムは2種類。11月18日と21日は《ローエングリン》より「第1幕への前奏曲」を導入として、ヒラリー・ハーンがシベリウスのヴァイオリン協奏曲を弾き、さらにウィーン・フィルとの来日公演でも披露したネルソンスお得意の「新世界より」が控える。19日にはベートーヴェン「プロメテウスの創造物」序曲ではじまり、ピアノ協奏曲第1番(ソロ:エレーヌ・グリモー)、交響曲第4番というブラームスの大作2曲が続く。共演するソリストも美女揃い(もちろん見た目だけでなく、二人とも超一流の実力派)で、とにかく華やかな話題に事欠かない。今後の世界の音楽シーンの動向を占う公演、といっても過言ではないだろう。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2013年9月号から)

★11月18日(月)、19日(火)・東京オペラシティコンサートホール Lコード39903
21日(木)・東京芸術劇場 Lコード38617
問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp

11/20(水)・東京文化会館(都民劇場03-3572-4311)Lコード32317
11/23(土・祝)・アルモニーサンク北九州ソレイユホール(北九州国際音楽祭093-663-6567) Lコード86616
11/24(日)・兵庫県立芸術文化センター(0798-68-0255) Lコード54605