イルジー・ビエロフラーヴェク 記者懇談会レポート

 昨年、チェコ・フィルの首席指揮者に就任したイルジー・ビエロフラーヴェクがチェコ・フィルとの東京公演を前に29日、記者懇談会を行った。ダヴィット・マレチェック総裁が同席した。

Photo:M.Terashi/TokyoMDE
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 ビエロフラーヴェクは1990年にチェコ・フィルの首席指揮者に就任しつつもその2年後には同オケを去る。ターリヒ、クーベリック、アンチェル、ノイマンといったチェコを代表する指揮者を伝統的に首席として迎えていた同オケのその後の20余年は、“非”チェコ人の指揮者で埋められた。
 そして2012年、ビエロフラーヴェクは再度チェコ・フィルに迎えられた。120年の歴史が培ったチェコの“財産”を“再生”させるためだ。

 「チェコ・フィルに戻る際、いくつかの条件を出しました。なかでも、芸術的な面で言えば、“魂を変えていく”こと、これからも音楽面でのレベルを維持し向上させていくという努力を惜しまない、ということです。これについてオーケストラとの間で同意が得られました。そしてこの一年、そのことは達成できていると感じています。ただ、音楽には『これでいい』という終着点はありません。今後もさらなるレベルアップに向け、努力を続けて行かなくてはなりません」

 独特の音色をもつと言われるチェコ・フィルの音色については、「団員の99%がチェコ人で占められており、チェコの伝統にもとづいた音楽教育を受けていることが大きいでしょう。そしてホールの音質の良さと、音色への追求心を失わないこと。そしてなによりも、チェコ・フィルがチェコにとって最初のオーケストラで、チェコの作品を初演し聴かせるという目的があったからです。チェコの作品には、すでにチェコ独特の音色が含まれています。それらを弾きこむことで独特な音色が培われたのです」と語る。

 そして、これからのチェコ・フィルについては「重厚な音色、輝くような響、ターリヒ、クーベリック、アンチェル 、ノイマンといった伝統が遺していった響は失わず、しかし、現代の新しいオーケストラの姿を追い求めていく。そのことが魂の刷新につながる」との意気込みを語った。

 また、10月にチェコで共演し11/3にも共演するピアニストの河村尚子については、作曲家の意図を詳細にくみ取った高いレベルでの演奏だったと評価した。

 ビエロフラーヴェク&チェコ・フィルでは現在DECCAレーベルでの『ドヴォルザーク 交響曲全集録音プロジェクト』が進行中だ。すでに6曲を収録、今後、2,4,9番を収録し2014年秋に発売予定だ。また、2014年「プラハの春音楽祭」オープニング公演でスメタナの「わが祖国」を指揮、こちらもライブ録音としてCDリリースが予定されている。

ビエロフラーヴェク指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
★10月30日(水)、31日(木)・サントリーホール
11月3日(日・祝)・ミューザ川崎シンフォニーホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp

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Photo:M.Terashi/TokyoMDE
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