『ムーティ、ヴェルディを語る』レポート

 10月30日(水)、31日(木)にすみだトリフォニーホールで行われる東京・春・音楽祭特別公演「ムーティconducts ヴェルディ」と、来年5月のローマ歌劇場来日公演に先駆けて、10月26日(土)にレクチャー「ムーティ、ヴェルディを語る」が開催された。会場はBunkamura オーチャードホール。

 リッカルド・ムーティは近年、「オペラの啓蒙を目的として」各地でレクチャーを開いており、日本ではこれが初めてとなる。当夜は、休憩も入れず、当初の予定時間を大幅に超える2時間15分にも及んだ。マエストロの言葉は示唆に富み、ときにユーモアを交え、ほぼ満員の聴衆を湧かせた。

(c)堀田力丸
(c)堀田力丸

 全体は3つの部分に分けられ、まず、ムーティ自身の経験談から。いかにして音楽と出会い、指揮者となったか–。12 歳で《アイーダ》を観てからヴェルディのファンになったこと、バーリの音楽院時代でのニーノ・ロータとの出会い、デビューのフィレンツェ五月音楽祭ではスビャトスラフ・リヒテルに招かれ共演に向けて音楽性を試されたというエピソード、フィレンツェ歌劇場時代に始めて指揮したヴェルディのオペラ《群盗》の思い出など、実に興味深い内容が語られた。

 続いては、ヴェルディのスコアの尊重について。《群盗》を指揮した際に、当時、ヴェルディのスコアが、歌手の要望などにより「部分的にカット」され、作品の様式を無視して「自由に」演奏されていた慣習(悪しき伝統)に疑問を抱いたムーティは、その後ヴェルディ自身が書いたスコアに忠実に-ワーグナーやモーツァルトと同様に-演奏する姿勢をとるようになった、と述べた。ヴェルディのスコアは今後もまだまだ研究されるべきで、その意味で「未来の作曲家」であると主張した。

 しめくくりは、30日、31日に出演する安藤赴美子(ソプラノ)と加藤宏隆(バリトン)がステージに登場。《椿姫》第2幕のヴィオレッタとジェルモンの二重唱について、ムーティ自身が指導を行うという、実質的な公開マスタークラスとなった。ここでは、とくに音楽と言葉の理解がポイントとなり、「オーケストラと歌手との絶対的な関係」と「ヴェルディのオペラは言葉の劇場である」という言葉が印象的だった。

(通訳と進行は田口道子。ピアノ伴奏は小林万里子)

(c)堀田力丸
(c)堀田力丸

●ムーティ conducts ヴェルディ
10/30(水)、10/31(木)19:00 すみだトリフォニーホール
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_1693.html

●ローマ歌劇場2014日本公演
「ナブッコ」
5月20日(火)18:30 東京文化会館
5月30日(金)15:00 NHKホール
6月1日(日)15:00 NHKホール
「シモン・ボッカネグラ」
5月25日(日)15:00 東京文化会館
5月27日(火)18:30 東京文化会館
5月31日(土)15:00 東京文化会館
S=¥54,000 A=¥47,000 B=¥40,000 C=¥33,000 D=¥26,000 
E=¥19,000 F=¥12,000
ローチケ 【S〜D席】Lコード36110 (12/7発売)
ローチケ 【E・F席】Lコード36133 (11/23発売)
http://www.nbs.or.jp/nbsnews/319sp/index.html