2018年2月、新国立劇場開場20周年記念公演と銘打たれ、日本初演された細川俊夫作曲、サシャ・ヴァルツ演出・振付のオペラ《松風》。その美術を担当したのが、ベルリンを拠点に活動する塩田千春だ。
現在、森美術館で開催されている『塩田千春展:魂がふるえる』は2019年注目の展覧会。本展は塩田の25年間にわたるの創作の全貌を明らかにする過去最大規模の個展。
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塩田は1972年大阪府生まれ。ベルリンを拠点に、記憶や不安、夢、沈黙など、「不在のなかの存在」をテーマにしたパフォーマンスやインスタレーションを発表してきた。世界各地の美術館、国際展、ギャラリーなどで300本以上の展覧会に参加し、2015年には第56回べネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館代表にも選出されるなど、国内外で高く評価されている。
本展は、塩田の代表的なシリーズ、無数の糸を空間全体に張り巡らせた大規模なインスタレーションを中心に、立体作品、パフォーマンス映像、写真、ドローウィング、そして塩田自身の身体のパーツをモティーフにした新作《外在化された身体》(2019)など、総作品数113点(うち新作18点)を展示する。
注目はやはり、塩田作品を最も特徴づける糸を使用した没入型インスタレーション。
今回は、全長280キロメートルにもおよぶ真っ赤な糸で覆われた空間にフレームだけの舟が配された《不確かな旅》(2016/2019)、塩田が幼い頃、隣家が火事で燃え、丸焦げになったグランドピアノを見た記憶から制作された《静けさのなかで》(2002/2019)、移動や移住、旅路を示唆するスーツケースが天井から約430個吊るされた《集積:目的地を求めて》(2014/2019)を展示。これらは森美術館の空間にあわせて再構築されている。
1996年にドイツに移住し、現在はベルリンを拠点とする塩田は、ベルリンの壁崩壊から15年後の2004年頃より、窓を使った作品も手掛ける。旧東ベルリンで廃棄された窓枠を集め、09年から《内と外》を制作。窓は塩田自身の私的と外側、あるいは東西ドイツの境界を連想させる。ベルリンの壁崩壊から30年となる今年、本展では約230枚の窓枠を用いた作品を、ドイツ市内の工事現場の写真とともに展示する。
その他、日本ではこれまであまり取り上げられてこなかったが、塩田が近年力を入れている舞台美術の仕事に関する資料も9プロダクションを紹介する。2003年のウヤズドフスキ城現代美術センターで発表された「オール・アローン」(可世木祐子演出)以降、11年にベルギーのモネ劇場で世界初演された《松風》のほか、キール歌劇場での《トリスタンとイゾルデ》(14年)、《ジークフリート》(17年)など、ダンスやオペラなど塩田が手掛けた数々の舞台美術の写真や動画資料、模型を展示する。
塩田が森美術館より個展の依頼を受けたのは約2年前。打診を受けた翌日、癌の再発が発覚した。塩田は本展開催までをこう振り返る。「個展のお話がきた時、生きててよかったと思いました。ただここまで死と寄り添って構想を練らなければならなかった展覧会は初めてで、死や生きていくことを考えさせられた展覧会でした」。
展覧会の副題「魂がふるえる」には、彼女自身の癌闘病から生まれた、言葉にならない感情によって震えている心の動きを伝えたい、感じてほしいという彼女からの想いが込められている。
■Information
塩田千春展:魂がふるえる
会期:2019年6月20日~10月27日
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00~22:00(火 〜17:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
https://www.mori.art.museum/jp/
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