ダン・エッティンガー (指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団

俊才たちが紡ぐエキゾチシズム

ファジル・サイ(c)Marco Borggreve

ファジル・サイ(c)Marco Borggreve

豪快さと歯切れのよさを備えた指揮で、毎回大きな反響を呼んでいるダン・エッティンガーが、東京フィルの常任指揮者として3年目を迎える今秋、リムスキー=コルサコフの豪華絢爛な音楽絵巻「シェエラザード」に挑む。「アラビアン・ナイト(千夜一夜物語)」を題材にした交響組曲で、作曲者の創作意欲が生涯で最も湧き上がっていた頃に書かれた作品だ。主人公のシェエラザード姫を象徴したコンサート・マスターが奏でる甘美なヴァイオリン・ソロや、管楽器の華々しいソロなども含め、イスラエル生まれの俊才が、この多彩でエキゾティックな傑作をどのようにまとめ上げるかに期待が高まる。

そして、今回の公演でもう一つのお楽しみは、トルコの鬼才ピアニスト、ファジル・サイをソリストに迎えたラヴェルの「ピアノ協奏曲ト長調」。同時期に書かれた「左手のためのピアノ協奏曲」の重厚さとは対照的に、古典的な優雅さや叙情性にあふれているのが特長だ。作曲者自身、「モーツァルトやサン=サーンスと同じ美意識で書いた」と述べているように、実に明快で見通しのよい構造で書かれている。それだけに演奏者の技量や資質が問われる難曲。スリリングな煌きを放って疾走するサイのピアノは、エッティンガー&東京フィルの情熱的かつ献身的なサポートを受けながら、鮮烈で純度の高いラヴェルを聴かせてくれるに違いない。

文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ2013年10月号から)

第839回 サントリー定期シリーズ ★10月25日(金)・サントリーホール
第840回 オーチャード定期演奏会 ★10月27日(日)・Bunkamuraオーチャードホール
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522 http://www.tpo.or.jp

ダン・エッティンガー

ダン・エッティンガー(c)三浦興一