サラマンカホール開館25周年記念 第九特別公演

ホールに縁の深い山田和樹&東混とソリストたちが節目の年を祝う


 岐阜のサラマンカホールが開館25周年を山田和樹指揮の「第九」で祝う。山田の第九は案外珍しい。最近では2017年に2つのチャリティ・コンサートで指揮した程度。山田自身、ホール広報誌のインタビューに、第九を振るのは特別な場合だけと答えている。合唱は山田が音楽監督を務める東京混声合唱団と、公募合唱団、サラマンカ少年少女合唱団の総勢120人。子どもたちが一緒に歌うのは山田のたっての希望であり、一昨年の彼の2つの第九と同様に、合唱団はパートごとにでなく、ランダムな並び順で歌う。個々の力が要求されるのでアマチュア合唱団には低くないハードルだが、山田にはそんな些細な事情よりも大きな理想が見えているにちがいない。いわゆる「市民第九」の枠を超えた、芯のあるベートーヴェンが紡ぎ出される予感。管弦楽は愛知室内オーケストラ(12型)。岐阜出身の國光ともこ(ソプラノ)、城宏憲(テノール)と、岐阜大学で指導する近野賢一(バリトン)に、小林由佳(メゾソプラノ)が加わる。

 前半には、現代合唱界随一の人気作曲家・信長貴富の「不滅のアンセム〜第二の国歌と呼ばれる歌たち〜」を東混が歌う。山田と東混が精力的に取り組む、約200ヵ国の国歌や愛唱歌を(各国の原語で!)録音、出版、演奏するという壮大な「アンセム・プロジェクト」から生まれた作品。〈美しく青きドナウ〉〈フィンランディア〉など有名曲が詰まったメドレーは、これがステージ初演となる。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2019年5月号より)

2019.6/15(土)15:00 サラマンカホール
問:サラマンカホール チケットセンター058-277-1110 
https://salamanca.gifu-fureai.jp/