熟練の技で聴かせるベートーヴェン後期の孤高なる音楽
ベートーヴェンが晩年に達した境地を知らしめる、後期の弦楽四重奏曲集。その力みの抜けた孤高の音楽は、やはり演奏と人生の経験を重ねた匠たちの演奏で聴きたい。そう考える人にとって待望の機会となるのが、3月の日曜、横須賀で行われる「ジャパン・ストリング・クヮルテット」の名曲コンサートである。
チャイコフスキー第3位、パガニーニとロン=ティボー第2位と、名門コンクールでの華麗な入賞歴を誇る久保陽子を中心に、久合田緑(以上ヴァイオリン)、菅沼準二(ヴィオラ)、岩崎洸(チェロ)と、各々が数十年にわたり我が国の弦楽器界を牽引し続けてきた4人の名匠たち。彼らがベートーヴェンの深奥を追求するために熟練の技をつぎ込んでいる四重奏団で、その解釈の深みは他の追随を許さない。しかも今回の演目は、第12番と第14番。特別な存在感をもつ後期の2名作という、堂々たるプログラムだ。作品にも演奏にも、年輪というものの重みを体感できる時間となるだろう。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2019年3月号より)
2019.3/24(日)15:00 ヨコスカ・ベイサイド・ポケット
問:横須賀芸術劇場電話予約センター046-823-9999
https://www.yokosuka-arts.or.jp/