マティアス・バーメルト(指揮)

札響との東京デビューは人気有名曲で

C)Yasuo Fujii

「札幌交響楽団の魅力を、もしひと言でいうなら、音楽に対する真摯な姿勢です」
 今年4月に札響の首席指揮者に就任したマティアス・バーメルト。来年1月にはこのコンビでは初めての東京公演に臨む。
「私がどのオーケストラにも求めるのは、忠実なダイナミクスと的確なアーティキュレーション。そして、オーケストラにアーティキュレーションを意識させるのに、モーツァルトほどぴったりな作曲家はいません。彼の作品では、一つひとつの音にどんなカラーを持たせるかが、とても重要だからです。私はザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団やロンドン・モーツァルト・プレイヤーズで、モーツァルトを自分のものとして演奏してきたので、とても近しさを感じています」
 東京公演はそのモーツァルトから始まる。弦楽とティンパニのための「セレナータ・ノットゥルナ」。
「とても美しいチャーミングな曲です。札響には非常に優れた弦楽器奏者が集まっています。もちろん、それをさらに良くすることはできるでしょう」
 ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番では注目のピアニスト岡田奏をソリストに迎える。北海道出身。初共演だが、東京公演の前に小樽と苫小牧で共演する。
「地元出身の若い音楽家を紹介するのは重要な仕事です。ベートーヴェンは彼女に選んでもらいました。若い人には、やりたいこと、一番自信のあることをどんどんやりなさいと言っています」
 そしてメインはブラームスの交響曲第2番。ブラームスの他の3曲の交響曲とはまったくキャラクターの異なる、ハッピーな作品だと語る。
「21年かかって完成した交響曲第1番と対照的に、たったひと夏で書き上げた作品。非常に晴々とした音楽で、ブロンドの髪を風になびかせた、青年時代の非常にハンサムな若いブラームスのイメージに近いと思います。晩年の、しかめつらをして、でっぷりと太ったひげ面の老人の肖像ではなく」
 モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスというドイツ音楽の王道プログラム。
「保守的と感じるかもしれませんが、東京での私たちの初コンサート。しかも1回だけの公演ですので、札響に何ができるのかを東京のみなさんにお見せするために、このレパートリーを選びました」
 スイス・ベルン近くの小さな町の出身の76歳。長い音楽人生の中、「いま円熟の段階に差し掛かったところだよ」と笑う。その円熟をたっぷり満喫させてくれる王道プログラムに期待が集まる。
取材・文:宮本 明
(ぶらあぼ2018年12月号より)

札幌交響楽団 東京公演 2019
2019.1/30(水)19:00 サントリーホール
問:カジモト・イープラス0570-06-9960 
http://www.sso.or.jp/