ダニエル・ハーディング(指揮) パリ管弦楽団

強力なコンビ、最後の来日は王道の名曲で

左:ダニエル・ハーディング C)Julian-Hargreaves 右:イザベル・ファウスト C)Felix Broede

 ハーディングがパリ管弦楽団のシェフに就任したのは2016年。パリ管は彼の妥協を許さない姿勢に好感をもったようで、その直後の来日公演からハーディングは堂々と自分の音楽を展開していた。就任直後の指揮者の意図をここまで完璧に表現してしまうパリ管もさすがで、強力なコンビが誕生したと舌を巻いたものだ。ハーディングは来季をもってその任を満了するので、シェフとして来日するのはこれが最後となる。一期3年の在任期間で2回も聴けるのだから、日本の聴衆は幸運だ。
 プログラムも振るっている。東京3公演、京都1公演のうち、お国ものはベルリオーズの「王の狩りと嵐」だけ。これは長大なオペラ《トロイアの人々》の間奏曲で、10分程度の楽曲だが、タイトル通りのダイナミックな音詩。この曲と組み合わされるのがベートーヴェン「田園」。パリ管の前身、パリ音楽院の管弦楽団はオペラ偏重のパリ19世紀の音楽界でベートーヴェンをいち早く紹介し、その演奏に感化されたベルリオーズはフランスにおけるベートーヴェンの伝道師となった。こうした点を念頭に、両者の嵐の表現などを比較してみるのも面白いだろう。ハーディングが得意とするマーラーからは「巨人」。ギリギリまで精度を上げた快演が期待できるのではないか。
 いまやヴァイオリン界の最高峰に君臨するイザベル・ファウストが帯同し、ベートーヴェンとベルクの協奏曲を聴かせるのも豪華だ。筋の通った解釈と厳しい表現は、聴き手の居住まいを正させる。ハーディングの緻密なリードにどう反応するかに注目だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2018年12月号より)

2018.12/14(金)19:00 京都コンサートホール
12/16(日)15:00 東京芸術劇場 コンサートホール
12/17(月)、12/18(火)各日19:00 サントリーホール
問 カジモト・イープラス0570-06-9960
  京都コンサートホール075-711-3231(12/14のみ)
  東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296(12/16のみ)
http://www.kajimotomusic.com/
※各公演のプログラム詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

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