ゲルハルト・オピッツ ピアノ・リサイタル シューマン × ブラームス連続演奏会 第4回

ベートーヴェンからの流れを総括するシリーズ最終回

C)Concerto Winderstein

 2015年にスタートしたゲルハルト・オピッツの「シューマン×ブラームス連続演奏会」が、最終回となる第4回を迎える。
 1953年バイエルンに生まれ、ケンプの薫陶をうけたオピッツは、これまでベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏会を行うなど、ドイツ音楽の真髄を追求してきた。当シリーズは、ベートーヴェンを崇敬していたシューマンとブラームスの作品のハイライトを紹介することで、各人がベートーヴェンから受けた影響の違い、さらには、この伝統が後のドイツ音楽にどう受け継がれたかを考えるという、意欲的な試み。
 プログラムは、シューマンからは「蝶々」に加え、作曲家の内面や彼を取り巻く人への想いがこめられたような「謝肉祭」を演奏する。一方のブラームスの作品としてまず取り上げるのは、「シューマンの主題による変奏曲」。当時、シューマンはライン河で投身自殺をはかって病院に収容されており、ブラームスがシューマンの妻クララを励ます意味も込めて書いた作品だ。また、実質1作目のピアノ・ソナタで、先達の影響が見られるソナタ第2番も、改訂版がクララに献呈されている。シューマン夫妻とブラームスを強く結びつける作品が選りすぐられた内容だ。
 歳を重ねるにつれ「ベートーヴェンから続く系譜にある音楽が、より近い存在となってきた」というオピッツ。そんな今だからこそ見える、当時の音楽家が互いに与え合った影響、作風の違いを、存分に伝えてくれることだろう。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2018年12月号より)

2018.12/14(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831
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