神奈川フィルハーモニー管弦楽団が2019/20年シーズン・ラインナップを発表

 神奈川フィルハーモニー管弦楽団が2019/20年シーズンのラインナップを発表した。9月25日に横浜市内で開かれた記者会見には常任指揮者・川瀬賢太郎も出席、自身の指揮するコンサートを中心に概要を説明した。

川瀬賢太郎 
写真提供:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

 川瀬はまず2019年5月に横浜みなとみらいホール(MM)で、コンサートマスター石田泰尚独奏によるブロッホの協奏曲と、「夏の夜の夢」を。ブロッホは石田から「しつこいぐらいに」(川瀬)ラブコールを受けての選曲。「夏の夜の夢」は演出家・田尾下哲が朗読台本を書き下ろす。続いて6月には、「くるみ割り人形」全曲。「改修後の県民ホールは、音がかなり改善されたと聞いているので楽しみ」と期待を述べた。楽団としても、ピットをあげて舞台前面にオケを配置するなど、ホールの新しい楽しみ方を提案する。12月のMMではストコフスキー編曲「展覧会の絵」をメインに、B.A.ツィンマーマンの「ユビュ王の晩餐のための音楽」(1966)というレア作品。過去のさまざまな名曲がこれでもかと引用されている作品だ。
 年が明けて2020年2月には、現在リニューアル中の神奈川県立音楽堂で、細川俊夫「月夜の蓮」(2006)と、細川が同作品でオマージュを捧げているモーツァルトのピアノ協奏曲第23番をセットで(ピアノ:菊池洋子)。これを含め全4回の「音楽堂リニューアルシリーズ」はすべてモーツァルトがテーマ。「モーツァルト+(プラス)」ともいうべき、「モーツァルトとの組み合わせ」にさまざまな工夫が凝らされる。3月は再びMMでシェーンベルク編曲によるブラームスのピアノ四重奏曲。「とにかく難しいが、自分の任期6年目となるオケの力とチームワークを最もわかりやすく聴いていただける曲」。
 多士済々の客演指揮者の公演含め、王道名曲から、クラシック通を唸らせるこだわり抜いた佳曲まで、オケのやる気満々な姿勢がじわじわと伝わってくる来季の神奈川フィルだ。
取材・文:宮本 明

神奈川フィルハーモニー管弦楽団
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