ウィーン伝統のサウンドで魅了する名作室内楽の数々
世界最高峰のオーケストラ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務めるフォルクハルト・シュトイデのもと、楽団の次世代を担う名手たちが集った「シュトイデ弦楽四重奏団」。この10月、ベートーヴェンとシューベルトの弦楽四重奏の佳品に加え、俊英ピアニストの小林有沙を迎えて、ドヴォルザークの五重奏曲を紀尾井ホールで披露する。
第1ヴァイオリンのシュトイデをはじめ、チェロのヴォルフガング・ヘルテルら1970年代生まれの奏者により、2002年の元日に結成。以来、連続してザルツブルク音楽祭に出演するなど、ウィーン特有の優雅で気品を湛えたサウンドが、高い支持を得ている。03年春には、大阪国際フェスティバルにも登場。日本の聴衆へ“初お目見え”も果たした。
06年にはウィーン楽友協会でデビューし、09年からは年4回の定期演奏会を同所、13年からの2年間はウィーンの新ホール「MuTh」で開催した。ウィーン・フィルのコンマスだったウェルナー・ヒンクらが結成し、半世紀以上にわたって世界的集団として活躍を続ける「ウィーン弦楽四重奏団」の後継者との呼び声も高い。
今回の紀尾井ホール公演は、まず、ベートーヴェン後期の弦楽四重奏作品の粋ともいえる傑作「大フーガ」を。さらに、シューベルト特有の歌心と美しいハーモニーを併せ持ち、緻密な作曲技巧が凝らされた名曲「死と乙女」が披露される。そして、桐朋学園大からベルリン芸大、ウィーン国立音大に学び、12年にモロッコ王妃国際ピアノコンクールを制した才媛・小林を迎えてのドヴォルザークの室内楽の至宝「ピアノ五重奏曲」を聴けるのも楽しみだ(両者の共演はこの公演のみ)。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2018年10月号より)
2018.10/19(金)19:00 紀尾井ホール
問:1002(イチマルマルニ)03-3264-0244
http://www.1002.co.jp/
シュトイデ弦楽四重奏団の全国公演
2018.10/17(水)浜離宮朝日ホール(カメラータ・トウキョウ03-5790-5560)
10/18(木)鶴見区民文化センターサルビアホール (045-511-5711)
10/20(土)呉市文化ホール(0823-25-7878)
10/21(日)安芸太田町 戸河内ふれあいセンターメイプルホール(あきおおた国際音楽祭事務局080-3882-8324)
10/24(水)ヨコスカ・ベイサイド・ポケット(LEGARE 0467-91-0496)