【特別インタビュー】曽我大介(指揮)

アリアバトルで栄冠を勝ち取るのは誰? 決めるのはあなたです!

 首都圏のオーケストラが勢揃いして個性豊かな競演を繰り広げるミューザ川崎の「フェスタサマーミューザ」。幅広い層のファンに向けたファミリー・コンサートなど、毎年工夫を凝らしたプログラムで楽しませてくれる東京ニューシティ管弦楽団が、今年は驚きの新企画を引っさげて登場する。その名も「センター争奪、灼熱のアリアバトル」(8/10)。6人の若きオペラ歌手たちが得意のオペラ・アリアで競う“選抜総選挙”だ。客席の投票で順位を決めるという真夏の戦いを、司会の朝岡聡とともに司る、楽団の正指揮者・曽我大介に聞いた。

 もちろん、「争奪」「バトル」とはいっても、「ガチの争い」ではない。
「どちらかといえばお楽しみですね。出演者は私も共演したことのある、若手ながら指折りの実力を持った歌手のみなさんです。みなさん楽しんで参加してくださっているようです。意気込みなどは、当日プログラムとともに配付される『選挙公報』をご覧ください。
 出演者全員が声のタイプのまったく異なる、カラーの違う歌手のみなさんです。それぞれの希望曲数曲の中から選曲して、結果として、コンサートとして聴いてもとてもバランスのよいプログラムになっていますので、人間の声のさまざまな魅力、イタリア・オペラの世界の奥深さを楽しんでいただけると思います」

 コンサートは、まず曽我によるプレトークの間に抽選で「バトル」の歌唱順を決める。出場者は、高橋維、土屋優子(ソプラノ)、野田千恵子、高野百合絵(メゾソプラノ)、芹澤佳通(テノール)、吉川健一(バリトン)の6人。聴衆は休憩時間にロビーで、手もとの投票用紙に好みの歌い手の名を記入し清き一票を投じる、という仕掛け。プログラム後半の演奏中にスタッフ総動員で即時開票された投票結果が、全プログラム終了後に発表される。
「第1位の方にはシャンパンが贈られ、《椿姫》の〈乾杯の歌〉を“センター”で歌っていただきます。本来はあの曲ではソロを歌わない、たとえばメゾソプラノの方がセンターで! なんていう事態もあるかもしれません。それはそれで“お楽しみ”です」
 司会の「コンサート・ソムリエ」朝岡聡とは旧知の仲。二人のトークも楽しみな見どころのひとつだ。
「朝岡聡さんとはもう何年も共演していて気心の知れた間柄です。トークになるとほとんど私が“ボケ”で朝岡さんが“ツッコミ”になりますが(笑)。

 実は今回のコンサート、本当の魅力は後半の重唱なのです。実力ある歌手のみなさんのアンサンブルによる、恋愛あり、悲劇あり、コメディあり、イタリア・オペラの魅力が詰まったプログラム。イベント的なコンサートに思えるかもしれませんが、イタリア・オペラの多様さ、人間の声による表現の奥深さをこんなに味わえるプログラムはありません。酷暑の午後、選りすぐりのイタリア・オペラの序曲の魅力とともに、涼しいミューザ川崎で存分に楽しんでください」
 しかしお楽しみとはいえ、審査員はあなた。責任は重大だ。若きディーヴァ、ディーヴォたちの熱いバトルに、いつも以上に真剣に耳を傾けたい。そして後半の珠玉の重唱の数々を満喫したあとには、お待ちかねの審査結果発表。自分が投じた一票がどのように結果と結びつくのか。わくわくしながら待ちたい。
取材&文:宮本 明


【公演情報】
フェスタサマーミューザKAWASAKI 2018
東京ニューシティ管弦楽団
〈センター争奪、灼熱のアリアバトル〉

8/10(金)15:00(終演予定:17:00) ミューザ川崎シンフォニーホール
*14:20から曽我大介によるプレトークあり

指揮:曽我大介
司会:朝岡 聡

出演
高橋 維(ソプラノ)
 ヴェルディ:《椿姫》から〈ああ、そはかの人か〜花から花へ〉
土屋優子(ソプラノ) プッチーニ:《蝶々夫人》から〈ある晴れた日に〉
野田千恵子(メゾソプラノ) ロッシーニ:《タンクレーディ》から〈この胸の高鳴りに〉
高野百合絵(メゾソプラノ) ロッシーニ:《セヴィリアの理髪師》から〈今の歌声は〉
芹澤佳通(テノール) プッチーニ:《トゥーランドット》から〈誰も寝てはならぬ〉
吉川健一(バリトン) ジョルダーノ:《アンドレア・シェニエ》から〈祖国を裏切る者〉
ほか

料金
S¥4000 A¥3000 B¥2000

問:ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200
http://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/
http://muza.pia.jp/