菊本和昭(トランペット)

金管楽器って最強です!

C)Akira Muto
 2016年に始まり3回目の開催となる「ローム ミュージック フェスティバル」。室内楽からオーケストラまでさまざまな公演が、昼夜にわたり春の京都を彩る。今回初めて開催されるのが、腕利き奏者たちによる金管アンサンブルのコンサート「ザ・スピリッツ・オブ・ブラス」。リーダー役はNHK交響楽団の首席トランペット奏者・菊本和昭だ。
「個人的には、金管楽器って最強だと思っているんです。頑張れば弦楽器の表現もできるし、ピアノ曲のアレンジだってできる。しかも屋外でも吹けますから。今回、13人のメンバーが、東京や山形、もっと言えばドイツから、このコンサートのためだけに京都に集まりますから本気です。中高生にも大人の本気を見てほしいですね」
 トランペット5、トロンボーン5、ホルン、テューバと打楽器という特殊な編成なので、プログラムは編曲ものだ。オーケストラ曲、ピアノ曲からジャズ・スタンダードまで、原曲はさまざま。
「どこまで原曲とは違う魅力を引き出せるかを楽しんでください。金管は『でっかい音で明るく輝かしい』だけじゃない。小さな音の繊細なアンサンブルであったりとか、みなさんが抱く金管楽器のイメージの反対側をお聴かせしたいと思います。と言いつつ、最後はワーッ!という感じで終わると思うんですけど、それも金管のいいところで(笑)」
 各ホールのコンサートの合間には、京都を中心とした関西の中高生バンドによる無料の吹奏楽コンサートも組まれているので、当日はまるで「吹奏楽の祭典」だ。
 フェスティバル全体の出演者は、ロームミュージックファンデーションの音楽家支援事業に関わった音楽家。菊本も、奨学金を得て、名手ラインホルト・フリードリヒに師事するためにカールスルーエ音楽大学に留学した。すでに京都市交響楽団のメンバーとしてプロのキャリアを歩き始めてからのこと。音楽学生だけでなく、プロも含めた若手音楽家を広く支援しているプログラムのあり方がうかがえる。
 会場のロームシアター京都(旧・京都会館)は、高校から京都で過ごした菊本にとっては、そのリニューアル前から、たくさんの思い出が詰まった場所。
「僕にとっては今でも、メインホールは京都会館大ホール、サウスホールは京都会館小ホールなんです。高校の吹奏楽コンクールで負けて泣き崩れたり、思い出がいっぱいあります。そこで吹くのは感慨深いですね」
 新装後は今回が初めての出演だという。凱旋ですね、と水を向けると、「プレッシャーかけないでください」と笑った。
取材・文:宮本 明
(ぶらあぼ2018年4月号より)

ローム ミュージック フェスティバル2018
2018.4/21(土)、4/22(日) ロームシアター京都
※菊本和昭が出演するのは4/21のリレー コンサート B
問:エラート音楽事務所075-751-0617
※公演の詳細については下記公式サイトをご覧ください
http://micro.rohm.com/jp/rmf/rohmmusicfes2018/