20世紀の古典から“自作”まで披露する意欲的なステージ

この1月にトッパンホールで行われるリサイタルはクラリネット無伴奏。専業クラリネッティストでもソロ公演は珍しいから、いかにトッパンホールがヴィトマンの才能を“買っている”かがうかがえる。期待に応えるべくヴィトマンが立てたプログラムも、20世紀の古典から自作に至る多彩なもの。ベリオのどこか瞑想的な「リート」で始まり、初期の自作「幻想曲」に近作「3つの影の踊り」を続ける。後者は微分音、多重音、キーを叩く音、絶叫などが即興的に組み合わされたアイディアの宝庫で、その作風の一端が自身の演奏で味わえる。メシアン「世の終わりのための四重奏曲」からクラリネット独奏の楽章(鳥たちの深淵)、ストラヴィンスキー「パブロ・ピカソのために」と現代の古典に目配りした後、ヴィトマンが初演したホリガー「レシャント」、ルジツカ「3つの小品」の2作品へとつなげ、最後は師匠リームから献呈された「4つのしるし」で締める。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2018年1月号より)
2018.1/14(日)17:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
http://www.toppanhall.com/