2017年は、古楽の大御所ジョン・エリオット・ガーディナーにとって大忙しの1年となった。それもそのはず。生誕450年を迎えたクラウディオ・モンテヴェルディ(1567〜1643)を記念する公演が各地で行われるなか、モンテヴェルディの第一人者であるガーディナーもオペラ《オルフェオ》《ウリッセの帰還》《ポッペアの戴冠》を各地で指揮。自身率いるイングリッシュ・バロック・ソロイスツとモンテヴェルディ合唱団による演奏は、モンテヴェルディの誕生日にあわせた5月の公演を皮切りに、ザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭、フェニーチェ劇場、ザルツブルク音楽祭、BBCプロムス、エジンバラ音楽祭、ルツェルン音楽祭と続いた。9月にはベルリン音楽祭でベルリン・フィルとも共演した。
そのなかから、クラシカ・ジャパンでは6月にフェニーチェ劇場で行われた公演を一挙放映する。
イングリッシュ・バロック・ソロイスツは、ガーディナーが1968年にモンテヴェルディ管弦楽団として結成。その後、イングリッシュ・バロック・ソロイスツへと発展させた。同じくガーディナーが64年に設立したモンテヴェルディ合唱団とともに、89年にはモンテヴェルディ合唱団設立25周年を記念して、モンテヴェルディの『聖母マリアの夕べの祈り』による世界ツアーを行った。このように、ガーディナーにとってモンテヴェルディは彼の音楽の原点となる重要な作曲家。
◆モンテヴェルディ生誕450年〜ガーディナーの『オルフェオ』
初回放送
1月6日(土) 21:00〜23:10
モンテヴェルディは十数作のオペラを作曲したことがわかっているが、現在上演可能な形で残っているのは《オルフェオ》(1607)《ウリッセの帰還》(1640)《ポッペアの戴冠》(1642)の3作のみ。なかでも《オルフェオ》は、現在でも上演されている現存するオペラで最古となるもの。
演奏会形式上演ながら、歌手たちは器楽奏者に近寄ったり見つめながら歌ったり、オーケストラも黙役として芝居に参加しているような演出が施されている。
〜あらすじ〜
毒蛇に噛まれて命を落とした新妻エウリディーチェを取り戻しに冥界に赴く音楽家オルフェオ。卓越した音楽の力で、冥界の王から妻を連れ帰る許しを得る。ただし、地上に帰り着くまでけっして彼女を振り返ってはならないという条件だった・・・
[出演]クリスティアン・アダム(オルフェオ)ハナ・ブラシコヴァ(エウリディーチェ&音楽)リュシール・リシャルド(使者)フランチェスカ・ボンコンパーニ(プロセルピーナ) ジャンルカ・ブラット(カロンテ&プルトーネ)カンミン・ジャスティン・キム(希望)フリオ・ザナージ(アポロ)フランシスコ・フェルナンデス=ルエダ(羊飼いⅠ) ガレス・トレシダー(羊飼いⅡ&地獄の霊Ⅰ&エコー)ジョン・テイラー・ウォード(羊飼いⅣ&地獄の霊Ⅲ)ミハウ・チェルニアフスキ(羊飼いⅢ)ザカリー・ワイルダー(地獄の霊Ⅱ)アンナ・デニス(ニンファ)
[演出]ジョン・エリオット・ガーディナー、エルサ・ルーク
[指揮]ジョン・エリオット・ガーディナー
[演奏]イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、モンテヴェルディ合唱団
[収録]2017年6月19日フェニーチェ劇場(ヴェネツィア)
◆モンテヴェルディ生誕450年〜ガーディナーの『ウリッセの帰還』
初回放送
1月13日(土) 21:00〜24:25
《ウリッセの帰還》は、当時ヴェネツィアに造られた、世界で初めて市民に公開されたオペラハウスで初演された作品。
〜あらすじ〜
トロイア戦争を勝利に導いたまま行方のわからない智将ウリッセ。夫の不在の間に言い寄る求婚者たちに、貞淑な妻ペネーロペは、夫ウリッセの強弓を射た者と結婚すると宣言する。次々と失敗する求婚者を尻目に、見事に弓を引ききったのは、物乞いの老人に扮して密かに帰国していたウリッセだった・・・
[出演]フリオ・ザナージ(ウリッセ)リュシール・リシャルド(ペネーロペ)クリスティアン・アダム(テレーマコ)ハナ・ブラシコヴァ(運命&ミネルヴァ) ジャンルカ・ブラット(時&ネットゥーノ&アンティノー)シルヴィア・フリガート(愛)カルロ・ヴィストーリ(人間のはかなさ)ミハウ・チェルニアフスキ(ピサンドロ) ガレス・トレシダー(アンフィーノモ)ザカリー・ワイルダー(エウリーマコ)アンナ・デニス(メラント)ジョン・テイラー・ウォード(ジョーヴェ) フランチェスカ・ボンコンパーニ(ジュノーネ)ロバート・バート(イーロ)フランシスコ・フェルナンデス=ルエダ(エウメーテ)フランチェスカ・ビィオッティ(エリクレア)
[演出]ジョン・エリオット・ガーディナー、エルサ・ルーク
[指揮]ジョン・エリオット・ガーディナー
[演奏]イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、モンテヴェルディ合唱団
[収録]2017年6月20日フェニーチェ劇場(ヴェネツィア)
◆モンテヴェルディ生誕450年〜ガーディナーの『ポッペアの戴冠』
初回放送
1月20日(土) 21:00〜24:25
凄まじいまでの人間の欲望を巧みな音楽で描き切ったオペラ史上初の歴史物。ガーディナーが自らの原点モンテヴェルディの記念年に挑んだ、作曲家最後の作品!
《ポッペアの戴冠》は、モンテヴェルディ最後の作品と考えられており、作曲家の死の前年に初演された。
〜あらすじ〜
妻ポッペアがローマ皇帝ネローネの愛人であることを知った夫オットーネが、ネローネの妻である王妃オッターヴィアにそそのかされてポッペアの殺害を決意するが・・・
[出演]ハナ・ブラシコヴァ(ポッペア&運命)カンミン・ジャスティン・キム(ネローネ)マリアンナ・ピッ ツォラート(オッターヴィア)ジャンルカ・ブラット(セネカ)カルロ・ヴィストーリ(オットーネ)アンナ・ デニス(ドゥルジッラ&美徳&パッラーデ)リュシール・リシャルド(アルナルタ&ヴェネーレ)シルヴィ ア・フリガート(愛&ヴァレット)フリオ・ザナージ(兵士Ⅰ&リベルト)ガレス・トレシダー(家族)ザカリー・ワイルダー(ルカーノ) フランチェスカ・ボンコンパーニ(ダミジェッラ)ジョン・テイラー・ウォード(メルクーリオ)ミハウ・チェルニアフスキ(ヌートリチェ)ロバート・バート(兵士Ⅱ)
[演出]ジョン・エリオット・ガーディナー、エルサ・ルーク
[指揮]ジョン・エリオット・ガーディナー
[演奏]イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、モンテヴェルディ合唱団
[収録]2017年6月25日フェニーチェ劇場(ヴェネツィア)
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