びわ湖ホールが2018年度ラインナップを発表

「千人の交響曲」からオペラ、GWの新・音楽祭まで多彩な内容

 びわ湖ホールで2018年度に行う自主公演のラインナップが出揃い、指揮者でびわ湖ホール芸術監督の沼尻竜典、山中隆びわ湖ホール館長、馬淵英明びわ湖ホール事業部長が出席しての記者発表が、11月22日に同ホールで行われた。オープンから20周年の新シーズン。進行中のワーグナー《ニーベルングの指環(リング)》全4部作上演は第2日《ジークフリート》を迎え、新たに「近江の春 びわ湖クラシック音楽祭」をスタートさせるなど、充実の内容だ。

会見より びわ湖ホール芸術監督・沼尻竜典(左)とびわ湖ホール館長・山中 隆
写真提供:滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール

 「オペラ公演では完売も続くなど、売り上げはお陰様で好調。さらなる挑戦を続け、県内外の方々に『あって良かった』と思っていただけるホールにしたい」と 山中館長の挨拶。企画発表にあたり、馬淵事業部長は「特に、《ジークフリート》の上演、20周年記念のマーラー『千人の交響曲』、新たな音楽祭の開催、国内外の団体との連携-の4点が軸となる」と前置きした。
 「ホールのスタッフ全員で、マラソンをしているよう」と苦笑しつつも、やり甲斐を滲ませる沼尻。《ラインの黄金》に続く、《ジークフリート》の上演について「ミヒャエル・ハンペさんの大胆な演出には賛否両論あるが、全国のオペラ・ファンの議論を巻き起こした意義は大きい。今回も所属団体を超えたキャスティングで臨み、『オペラはどうあるべきか』の理想を追求してゆく」と語る。
 そして、20周年記念公演として、マーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」を沼尻指揮の京都市交響楽団、びわ湖ホール声楽アンサンブルほかで演奏。沼尻は「オペラ・ガラだろうとの予想を裏切って・・・」と笑い、「これまでのびわ湖ホールのプロダクションに貢献して来た8人のソリストを人選。十分にガラ的な要素も含んだ記念公演になると思う」と自信を見せる。
 また、2010年からGW期間中に続けていた「ラ・フォル・ジュルネびわ湖」を終了し、沼尻プロデュースによる「近江の春 びわ湖クラシック音楽祭」をスタート。初回は有料・無料あわせて70公演を予定している。「ラ・フォル・ジュルネではなく、34年前に僕らが企画した、桐朋の学園祭がモデル」と沼尻。「聴衆はもちろん、演奏家にも良い思い出となるものに。“ここでしか聴けない”を意識し、音楽祭がホールの新しい顔になれば」と語る。
 その他のオペラ公演では、日生劇場とのモーツァルト《魔笛》や、新国立劇場と提携してのプッチーニ《トスカ》、イタリア・バーリ歌劇場を招いてのヴェルディ《イル・トロヴァトーレ》公演など、国内外の団体との連携を推進。初心者向きのシリーズ「オペラへの招待」では、モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》と、林光《森は生きている》を取り上げる。
取材・文:寺西 肇

びわ湖ホール
http://www.biwako-hall.or.jp/
2018年度公演スケジュール
https://www.biwako-hall.or.jp/2017/11/22/7767d365e07b22d8dc657186181b1efa.pdf