ゲルハルト・オピッツ(ピアノ)

ドイツ・ピアノ音楽の本流を極める

C)Concerto Winderstein

 ゲルハルト・オピッツがこの12月、得意とするベートーヴェン、そしてシューマンとブラームスをとりあげる2つのリサイタルを行う。
 まず1つは、12日にフィリアホールで行われる、ベートーヴェンの4大ソナタ「悲愴」「月光」「テンペスト」「熱情」を弾く公演。これまでソナタ全曲演奏などでベートーヴェンに深く向き合ってきた彼が、名曲をまとめて取り上げることになる。メロディメーカーというイメージからは遠いこの作曲家が、実際にはいかに心に残る旋律を生み出したか、それをいかに完成度の高い構造の中に取り込んだかを、くっきりと見せてくれるだろう。
 そしてもう1つが、15日に東京オペラシティで行われる、『シューマン×ブラームス連続演奏会』。2015年から行われている全4回シリーズの第3回だ。今回は、シューマンが20代後半に完成させた「クライスレリアーナ」とソナタ第2番、ブラームスが20歳の頃、シューマンを訪ねたデュッセルドルフで主に書いたソナタ第3番を取り上げる。オピッツは両者について、「シューマンは、厳格な伝統に縛られすぎず、自由を求める形でベートーヴェンの精神を受け継いだ。一方ブラームスは、古典的な構造を大切にして過度な冒険は避け、詩情に満ちた音楽を書いた」と話している。両ソナタの聴き比べから、そのあたりを実感できるだろう。
 12日のベートーヴェンを聴き、新鮮な記憶をもって15日の公演を聴けば、より大きな発見があるかもしれない。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2017年11月号から)

ベートーヴェン4大ソナタを聴く 
2017.12/12(火)19:00 フィリアホール
シューマン × ブラームス連続演奏会 第3回
2017.12/15(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831
http://www.pacific-concert.co.jp/