金森穣渾身の最新作!『Liebestod-愛の死』が新潟と埼玉で上演

 金森穣が率いる日本で唯一の劇場専属舞踊団「Noism」が5月26日より新作『Liebestod-愛の死』(金森穣振付)とレパートリー作品『Painted Desert』(山田勇気振付)を新潟と埼玉で上演する。これに先立ち4月26日、Noism芸術監督の金森穣と副芸術監督の井関佐和子が登壇し、制作発表が行われた。
(2017.4/26 東京都内 Photo:J.Otsuka/Tokyo MDE)

金森 穣(左)と井関佐和子

 『Liebestod-愛の死』は、ワーグナーの楽劇《トリスタンとイゾルデ》より〈前奏曲〉と〈イゾルデの「愛の死」〉を題材とした金森穣の最新作。衣裳は、劇的舞踊『ラ・バヤデール—幻の国』を担当した宮前義之(ISSEY MIYAKE)を迎える。

 ルードラ・ベジャール・ローザンヌに所属していた1993年。当時18歳だった金森は、東京文化会館で上演された『M』(振付:モーリス・ベジャール)の一場面で使用されていた同曲を初めて耳にし魅了された。それ以後もワーグナーに惹かれ続けた金森は、25年経ったいま同曲を使用した作品を創作する決意を固めた。

金森 穣

 金森は本作を創作するに至った経緯を次のように語る。
「金森穣の身体が42年間培ってきたもの、その全てを用いて純粋に創っています。Noismを結成して15年間、創作的かつ工学的欲求とともに歩んできた道の中で、考え方、価値観、方法論を学べば学ぶ程、自分の魂に触れてくるものは何かを忘れているのではないか、20歳のデビュー作品『Under the marron tree』のようにピュアに、その音楽に“舞踊”を振り付ける、“舞踊とは何か”を考え、原点に戻り創作したいと思った。『振付家という自分をもう一度信じてそれだけで勝負したい』『理屈なしに感動したものを舞台上で表現したい』と思ったときに、この曲しかなかった」

 〈前奏曲〉では、生きることの喜びや生命の輝きに満ちあふれた井関扮する「歓喜の女」と吉﨑裕哉扮する余命少ない「末期の男」のデュオで構成され、〈イゾルデの「愛の死」〉では井関がソロを踊る。本作のコンセプトは「たった二人しか登場しない、物語をもっていない、今後の創作のための実験をしようとしているわけではない、音楽から受けるインスピレーションでたった二人の作品を創りたい」という想い以外の何ものでもないと語る。 
 同作に出演する井関は金森との創作過程について、次のように述べた。
「この作品を創ると聞いた時の穣さんの目の輝きが忘れられない。二人のために創るという意気込み、エネルギーを強く感じた。出演できることは舞踊家としてこの上ない喜び。穣さんの“心”だけをみて振りをもらい、作業する過程は久しぶりで楽しい。この感覚を忘れずに舞台に立ちたい」

井関佐和子

 もう一作品『Painted Desert』は、Noism2専属振付家兼リハーサル監督である山田勇気が研修生カンパニー「Noism2」のために2014年に発表。山田の代表作である本作を今回はNoism1メンバーが踊る。『Painted Desert』について金森は、Noism2が発表してきた数々の作品の中で“最も優れた作品”と絶賛する。
「作品自体が持っている構造的強度がしっかりしており、Noism2のどの舞踊家が踊っても変わらず“生きる”作品。舞踊家の力量を刺激し、作品を踊ることで新たな可能性を見出すことができる。山田勇気が振付家として優れた作品を生み、Noismのレパートリーとして若き血がみなぎる青臭さを感じさせない(Nosim2ぽくない)、単純に舞台芸術として良い作品です」

『Painted Desert』初演より(2014年)
photo:Isamu Murai

『Liebestod-愛の死』
photo:Ryu Endo

Noism1
『Liebestod-愛の死』(新作)
『Painted Desert』(レパートリー)

5/26(金)〜5/28(日)
りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館〈劇場〉
問:りゅーとぴあチケット専用ダイヤル025-224-5521

6/2(金)〜6/4(日)
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
問:彩の国さいたま芸術劇場チケットセンター0570-064-939
http://noism.jp/