福川伸陽(ホルン)

管楽アンサンブルで愉しむ“大シンフォニー”

 木管楽器の演奏家のファンなら、“ハルモニームジーク”という言葉を一度は聞いたことがあるだろう。18世紀後半から19世紀の半ばにかけて人気のあった木管楽器主体のアンサンブルで、その編成はオーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンが各2、そこにコントラバスが加わることも多かった。今回、Hakuju Hallでは『N響精鋭メンバーによるハルモニームジーク』と題して、同編成による交響曲の演奏会が行われる。
「ベートーヴェンの交響曲やモーツァルトのオペラなどは、19世紀にハルモニームジーク用に編曲がなされ、楽譜も出版されていました。オーケストラの演奏会に行けない人たちも、そういう気軽な編成で交響曲を楽しんでいたんですね」
 そう語るのはNHK交響楽団の首席ホルン奏者・福川伸陽。実は2014年の「ワンダフル one アワー」が好評で、ハルモニームジーク編成のコンサートが16年から年に1回のシリーズとなった。17年はその第2回で、ベートーヴェンの交響曲第5番(内門卓也編曲)などを披露する。
「Hakuju Hallの豊かな響きと木管楽器の柔らかい響きがよくマッチして、とても良いコンサートになりました。このぐらいの座席数だと、木管楽器だけでも十分に音圧が感じられるし、個々の楽器の個性も手に取るように分かると思います」
 しかし、弦楽器、打楽器も加わる交響曲を木管八重奏とコントラバスのみで表現するのはなかなか大変らしい。
「自分の楽器の担当部分だけでなく、弦楽器が演奏する部分なども管楽器で演奏していかなければなりません。相当に難しいところもあって、終わった後、楽屋ではみんな『ふ〜。たくさん吹いたね』と話したりします」
 第2回となるこのコンサートではフルート(甲斐雅之)が加わる。同じオーケストラでいつも演奏している仲間たちによる演奏会だが、そのメリットを福川はこう語る。
「定期演奏会などでいつも隣に座っているメンバーどうしが演奏しますので、お互いのやりたいことの意思疎通がとても速いです。またN響には長い演奏の伝統があって、それを団員の間で共有することもできます。例えば、サヴァリッシュさんはこの部分のニュアンスをこう指示していた、とか、細かな装飾音の付け方なども、あの指揮者はこうだった、などという話がよく出ます。そういう歴史的な部分も含めて、今回の演奏を楽しんでいただけると思います」
 まさに同じオーケストラに在籍しているからこその、親密な音楽的対話。それも感じることが出来るコンサートとなりそうだ。
取材・文:片桐卓也
(ぶらあぼ 2017年5月号から)

N響精鋭メンバーによるハルモニームジーク
ベートーヴェン シンフォニーシリーズ vol.2
6/5(月)19:00 Hakuju Hall
問:Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700
http://www.hakujuhall.jp/

  • La Valseの最新記事もチェック

    • パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)ロング・インタビュー Part2
      on 2019/12/06 at 01:43

      interview & text :小室敬幸 photos:野口 博 NHK交響楽団首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィに話をうかがうロング・インタビュー。後半戦はN響とのレコーディングや、2020年2〜3月に控えたヨーロッパツアーについて、じっくりと語っていただく。 ── パーヴォさんの指揮するN響のCDのなかで、バルトークにとりわけ強い感銘を受けました。これまでに発売されたもののなかでは唯一、完全にロ [&#8230 […]