遊び心がくすぐられる? プログラム
並んでいる曲を見るだけで、遊び心がくすぐられるリサイタルだ。パーセルやクープランといった古典のみやびから入り、時のうつろいに気まぐれに反応するケージの「四季」へとジャンプする。西洋音楽の常識を逆手にとったケージの音楽を通じて、高橋悠治はプログラミングの常識に挑戦しようとしているのか? それとも音楽そのものをピュアな目で眺めた時に見えてくる「意外にいける組み合わせ」なのだろうか? 続いておそらくは高橋自身の現在の心境を綴った「散らし書き」(初演)。さらにバルトーク「10のやさしいピアノ小品」で民衆のうちに息づく音楽をすくい上げ、ブゾーニ「子どものためのソナティナ」、サティ「コ・クォが子供の頃」で童心へと帰る。最後はシンプルなメロディーと和声からなるストラヴィンスキー「五本指」でクールダウンして一日の“修行”を終える。“戦う音楽家”も隠者のごとき徒然なる境地に達してきたのだろうか。プログラミングから受けるそんな印象を、会場で確かめたい。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ 2017年3月号から)
2/24(金)19:00 浜離宮朝日ホール
問:朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990
http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/