登場人物の関係と状況際立つ、装置と演出

もちろん、こうした舞台装置が活きるかどうかは登場人物の演技にかかっている。舞台稽古が本格的に始動した9月5日の練習では、常に何かに怯えつづけるジークリンデ(ジョゼフィーネ・ウェーバー)、威圧感を漂わせたフンディング(アルベルト・ペーゼンドルファー)、虐げられた妻への共感が思わず態度に出るジークムント(ステファン・グールド)ら、三人の水面下に流れる感情の絡み合いをしっかり押さえて表現するよう、演出監修のアンナ・ケロ(フィンランド国立歌劇場)からさまざまな指示が飛んでいた。この場面をはじめ、舞台上の動きがこれからの練習でどのように練り上げられてゆくのか。期待して本番を待つこととしよう。
文:山崎太郎
(ぶらあぼ 2016年10月号から)
新国立劇場2016/17シーズン オープニング公演 《ワルキューレ》(新制作)
飯守泰次郎(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団
10/2(日)〜10/18(火) 新国立劇場オペラパレス
問:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999
http://www.nntt.jac.go.jp/opera