原爆と人間の関わりを新たな視点から見つめ直す
ベルギーと日本の国交樹立150周年記念行事の一環として、映画監督マニュ・リッシュと、脚本家パトリック・マーンハムによるドキュメンタリー映画『スネーク・ダンス』の上映と、同映画の音楽を担当し、パリを拠点に活動する国際派ピアニスト、菅野潤のリサイタルのコラボレーションが全国4都市で行われる。
映画はネイティヴ・アメリカンによる雨乞いの儀式「スネーク・ダンス」をドイツの思想家アビ・ヴァールブルクが「生の恐怖の克服」と説いたことにインスピレーションを受け、科学の進歩によって生み出された原爆と人間の関わりを新たな視点から見つめ直したもの。舞台は原爆の原材料の産地コンゴに始まり、開発が行われたニューメキシコ、そして投下された日本に移る。世界がどのようにして日本への原爆投下へと至ったのか、当時の映像を使用することなく、原爆を生み出した側、犠牲となった側、それぞれの「いま」を生きる人々へのインタビューによって辿っていく。
劇中及び公演で菅野が演奏するベートーヴェンやショパンは、原爆開発に関わったオットー・フリッシュの愛奏曲。原爆投下直後の広島を目撃した父を持つ菅野による上映後の生演奏が、原爆開発当時と私たちを、よりリアルに結びつける役割を果たしていく。
この公演は、原爆という巨大な脅威を乗り越えることを強いられた人々の強さを通し、現代人が生きる上で抱える苦悩をどう克服すべきなのか、改めて考え直すきっかけとなろう。
文:長井進之介
(ぶらあぼ 2016年10月号から)
10/3(月)19:00 京都コンサートホール(小)
問:otonowa 075-252-8255
10/5(水)19:00 せんだいメディアテーク 1階 オープンスクエア
問:コンサートイマジン03-3235-3777
10/7(金)18:15 広島大学サタケメモリアルホール
問:キャンディー・プロモーション082-249-8334
10/9(日)14:00 18:00 長崎/とぎつカナリーホール
問:KTN事業部095-827-3400
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