没後20年 武満 徹 オーケストラ・コンサート

盟友ナッセンが自ら組んだ“タケミツ・プログラム”


下記記事は7月末時点の情報に基づいて作成したものです。ソリストとして出演を予定していたピアニスト、ピーター・ゼルキンは健康上の理由により、来日が不可能となりました。代わって高橋悠治が出演します。(2016.09.01発表)

詳細: http://www.operacity.jp/topics/detail.php?id=341


 武満徹没後20年。作品は世界中でますます演奏されているが、生前から交流をもったアーティストには引退・物故者も増えてきた。今回、武満が芸術監督を務めていた東京オペラシティで開かれるコンサートは、武満と深い絆でつながれた作曲家・指揮者のオリヴァー・ナッセンが企画した点で貴重だが、武満受容の現在を映している点でも興味深い。
 まず選曲だが、武満が前衛として刺激的な作品を次々と放っていた60年代に焦点を当てる。「テクスチュアズ」(1964)は東京オリンピックの年に書かれ、オーケストラを微細に分割することで流動的な質感が生まれている。「環礁」(62)は大岡信のシュールレアリスティックな詩句に、音の感性が鋭敏に反応する。「地平線のドーリア」(66)は2分割された弦の“こだま”の中にドリア調がほのかに響く。アイディアをスコアに落とし込む手並みが見事だ。「グリーン」(67)はすっきりと美しい管弦楽法で後年の作風を予兆する。
 今回のもう一つの特徴はキャスティング。ナッセンは武満作品を多く初演したピアニスト、ピーター・ゼルキンだけではなく、若い世代も積極的に起用。日本語で書かれた「環礁」を歌うのは現代ものも得意とするイギリス人ソプラノ、クレア・ブースだ。この日最後に演奏される「夢の引用」(91)はドビュッシーから影響を受けた晩年の甘美なトーンが聴かれるが、2台ピアノと管弦楽のためのこの作品を演奏するためにゼルキンが選んだピアニスト、台湾出身のジュリア・スーも国境・ジャンルを超えた活動で頭角を現しつつある若手。管弦楽は東京フィルハーモニー交響楽団が務める。故人を偲ぶだけではなく、その遺産を継承する未来志向のコンサートだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ 2016年9月号から)

10/13(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
http://www.operacity.jp

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