デザイナー・三宅一生の仕事を公開〜国立新美術館『MIYAKE ISSEY展』

 既成の枠にとらわれない自由な発想と、着心地の良さを兼ね備えた衣服で国内外の演奏家、舞踊家からも愛されるブランド「ISSEY MIYAKE」。デザイナーの三宅一生(1938〜)の初期から最新プロジェクトまで約45年間に及ぶ仕事を紹介する大規模な展覧会「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」が、6月13日(月)まで六本木の国立新美術館で開催されている。
(Photo:J.Otsuka/Tokyo MDE、一部展示風景 撮影:吉村昌也)

三宅一生

三宅一生

 三宅は1970年に三宅デザイン事務所を設立し、73年よりパリコレクションに参加。衣服デザイナーとして、活動の当初から「一枚の布」を基本理念に据え、立体としての身体と平面である布との関係を問い続けてきた。また、常に次の時代を見据え、伝統的な技術や職人技を最新のテクノロジーと組み合わせることで、いまなお革新的な衣服を生み続けている。
「国立新美術館の開館の際に、このような大きな美術館でいつか展覧会をやりたい、とつぶやいていたのが実現になった。こどもから大人まで年齢に関係なく楽しめる展覧会になったと思う。展覧会をみて何か創りたいな、面白いなという感覚を持って帰ってもらえたら嬉しい」と語る三宅。
 会場はこれまでに発表してきたコレクション作品のなかから厳選した百数十点を、異なる視点で構成されたルームA・B・Cの3つの部屋で展示する。
 ルームAでは、刺青の柄を用いたジャンプスーツ、1枚の布からつくられたコクーン・コートなど、三宅の原点ともいえる70年代の作品を展示。服づくりの根底にある「一枚の布」というコンセプトや、布と身体の間の空間についての探究を明らかにする。ルームBでは、胴体部のみを覆う衣服に繊細強化プラスティックや合成樹脂、ラタンなど、従来衣服には用いられてこなかった素材を取り入れた80年代の作品を展示。ルームCでは三宅の最も革新的な側面を、「プリーツ」「IKKO TANAKA ISSEY MIYAKE」「A-POC」「素材」「132 5. ISSEY MIYAKE」という5つのテーマに分類し展示する。
《ルームA》 一番手前は刺青の柄を用いたジャンプスーツ 国立新美術館「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」展示風景 撮影:吉村昌也

《ルームA》
一番手前は刺青の柄を用いたジャンプスーツ
国立新美術館「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」展示風景 撮影:吉村昌也

《ルームB》 繊維強化プラスティックを素材に用い成型で仕上げられている「プラスティック・ボディ」 国立新美術館「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」 展示風景 撮影:吉村昌也

《ルームB》
繊維強化プラスティックを素材に用い成型で仕上げられている「プラスティック・ボディ」
国立新美術館「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」 展示風景 撮影:吉村昌也

《ルームC》 国立新美術館「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」 展示風景 撮影:吉村昌也

《ルームC》
国立新美術館「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」 展示風景 撮影:吉村昌也

《ルームC》 「132 5.」をテーマにした展示 国立新美術館「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」 展示風景 撮影:吉村昌也

《ルームC》
「132 5.」をテーマにした展示
国立新美術館「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」 展示風景 撮影:吉村昌也

《ルームC》 「素材」をテーマにした展示

《ルームC》
「素材」をテーマにした展示

《ルームC》 「A-POC」をテーマにした展示

《ルームC》
「A-POC」をテーマにした展示

 コレクションのなかでも三宅の服づくりにおいて重要な位置をしめている「製品プリーツ」は、ウィリアム・フォーサイスによるフランクフルト・バレエ団の新作「The Loss of Small Detail(失われた委曲)」(91年初演)のために、ニット素材を使ったプリーツの衣装を製作したことから始まる。これをさらに研究・改良を加えて93年、「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」が単独ブランドとしてスタートした。生地を服の形に裁断縫製してからプリーツ加工を行うという画期的な手法で、本展では「製品プリーツ」の製造工程が分かる機械「プリーツ・マシーン」も展示。1日1回(金曜日のみ2回)、実際にプリーツ・マシーンを動かす場面を見ることができる。

《ルームC》「プリーツ」をテーマにした展示  仮想オリンピック:国名をアップリケした後、プリーツで仕上げたジャケット 国立新美術館「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」 展示風景 撮影:吉村昌也

《ルームC》「プリーツ」をテーマにした展示
仮想オリンピック:国名をアップリケした後、プリーツで仕上げたジャケット
国立新美術館「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」 展示風景 撮影:吉村昌也

プリーツ・マシーン

プリーツ・マシーン

 これまで多くのクリエイターとコラボレーションしてきた三宅。今回の展示でもルームA・Bの空間デザインを吉岡徳仁が、ルームCの会場デザインと本展のグラフィックデザインを佐藤卓が手掛けている。
 「一生さんとはこれまで20年以上に渡り、たくさんのプロジェクトで組ませていただいた。毎回最後まで格闘するのは人体(ボディ)」と語る吉岡は、三宅の「1枚の布」というコンセプトにならい、「1枚の板」をレーザーでくり抜き、それらを組み合わせた「グリッド・ボディ」を本展のために製作。

《ルームB》 ボディは吉岡徳仁が手がけた「グリッド・ボディ」

《ルームB》
ボディは吉岡徳仁が手がけた「グリッド・ボディ」

 また佐藤は、「『1枚の布』という考え方から生まれる無限の可能性、その想像(創造)力の素晴らしさを感じ、多面的な展開をされている一生さんの仕事をどう表現すべきか試行錯誤の日々だった。本展の準備に約3年かかったが、展覧会を準備すること自体がクリエイティブな仕事だった。一生さんの非常に明快な服づくりをビジュアルにも生かし、展覧会のポスターは明快さとユニークさを表現した」と語った。
左より:吉岡徳仁(デザイナー)、佐藤 卓(グラフィックデザイナー)、 三宅一生、北村みどり(株式会社三宅デザイン事務所 代表取締役社長)

左より:吉岡徳仁(デザイナー)、佐藤 卓(グラフィックデザイナー)、
三宅一生、北村みどり(株式会社三宅デザイン事務所 代表取締役社長)

 会期中は、ISSEY MIYAKEに関わってきたクリエイターらが集いトークを行う他、ワークショップも開催(事前申込制、定員に達した時点で申込締切)。4月9日にはISSEY MIYAMEのデザイナーの宮前義之と、Noismの芸術監督・舞踊家の金森穣が、「動きのクリエイション」をキーワードにトークを行う(すでに定員に達したため申込締切)。
 2014年の12月にNoism1『ASU~不可視への献身』より「Training Piece」で衣裳を担当した宮前。今年6月新潟公演を皮切りに神奈川、兵庫、愛知、静岡で上演される新作「Noism 劇的舞踊 vol.3『ラ・バヤデール―幻の国』」(脚本:平田オリザ)でも衣裳を担当し、金森と再タッグを組むのも注目される。
Noism1『ASU~不可視への献身』より「Training Piece」(2014年)  Photo:Kishin Shinoyama

Noism1『ASU~不可視への献身』より「Training Piece」(2014年)
Photo:Kishin Shinoyama

WEBぶらあぼでは、本展の招待券を読者限定5組10名様にプレゼント

【プレゼント応募先】
ハガキ、またはメールにて、
●住所●氏名●年齢●職業●WEBぶらあぼ、または、ぶらあぼfacebookについての感想をお書きの上、
2016年4月18日(月)必着でご応募ください。
当選者の発表はプレゼントの発送をもって代えさせていただきます。

〒102-0073 千代田区九段北1-3-6 セーキビル4F
東京MDE「ぶらあぼ + Danza inside」編集部
ISSEY MIYAKE展 プレゼント係
e-mail:present_bravo@mde.co.jp

MIYAKE ISSEY展:三宅一生の仕事
2016年3月16日(水)〜6月13日(月) 国立新美術館 企画展示室2E
開館時間:10:00〜18:00(金曜は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)
休館日:毎週火曜日(ただし、5月3日(火・祝)は開館
観覧料:一般 1,300円/大学生 800円
※高校生、18歳未満(学生証または年齢のわかるものが必要)、および障害者手帳持参者(付添の方1名を含む)は入場無料。
特設サイト http://2016.miyakeissey.org
 

 

 

 

 
Noism 劇的舞踊 vol.3『ラ・バヤデール―幻の国』
演出:金森穣(Noism芸術監督) 脚本:平田オリザ
衣裳:宮前義之(ISSEY MIYAKE)
振付:Noism1 音楽:L.ミンクス《ラ・バヤデール》、笠松泰洋
空間:田根剛(DORELL.GHOTMEH.TANE / ARCHITECTS)
6/17(金)〜6/19(日)りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
7/1(金)〜7/3(日) KAAT神奈川芸術劇場 ホール
7/8(金)、7/9日(土) 兵庫県立芸術文化センター 中ホール
7/16(土) 愛知県芸術劇場 大ホール
7/23(土)、7/24(日) 静岡芸術劇場
http://noism.jp

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