ヴァルチュハと読響が緻密な演奏でひもとく、マーラー交響曲第6番の真価

ユライ・ヴァルチュハ ©読響 撮影=藤本 崇

 スロヴァキア出身で、サンクトペテルブルクにおいてムーシンに師事し、パリ国立高等音楽院で学んだユライ・ヴァルチュハは、RAI国立交響楽団、ナポリのサン・カルロ劇場のシェフを歴任し、2022年からヒューストン交響楽団の音楽監督を務めている。24年からは読売日本交響楽団の首席客演指揮者も兼務。読響とは、マーラーの交響曲を継続的に演奏している。22年8月の第9番、24年5月の第3番、25年8月の「大地の歌」に続いて、今年9月の定期演奏会では第6番「悲劇的」を取り上げる。

 ヴァルチュハは、第9番で、マーラーが作曲当時どれだけ未来を見ていたのかを示すような演奏を繰り広げた。第3番は、自然への愛おしさや懐かしさを感じさせる美しい演奏であった。そして、「大地の歌」でもオーケストラを精緻にコントロールして、繊細な美を表現していた。

 今回の第6番で、ヴァルチュハは、マーラー自身が指揮した、第2楽章アンダンテ→第3楽章スケルツォの順番で演奏するという。つまり、急→緩→スケルツォ→急の順に演奏することによって、第6番の古典派交響曲的なフォルムが明確に示されることになる。また、ヴァルチュハは、ハンマー(木槌)など多様な打楽器を含む巨大なオーケストラを使ったこの作品で、スコアに書かれた緻密で精妙な管弦楽法の美しさを際立たせることだろう。好調な読響とともにレベルの高い演奏を披露してくれるに違いない。

文:山田治生

(ぶらあぼ2026年9月号より)

ユライ・ヴァルチュハ(指揮) 読売日本交響楽団 第661回 定期演奏会
2026.9/8(火)19:00 サントリーホール
問 読響チケットセンター0570-00-4390
https://yomikyo.or.jp


山田治生 Haruo Yamada

音楽評論家。1964年、京都市生まれ。1987年慶應義塾大学経済学部卒業。雑誌や演奏会のプログラム冊子に寄稿。著書に「トスカニーニ」、小澤征爾の評伝である「音楽の旅人」、「いまどきのクラシック音楽の愉しみ方 」、編著書に「戦後のオペラ」、「バロック・オペラ」、「オペラガイド」、訳書に「レナード・バーンスタイン ザ・ラスト・ロング・インタビュー」などがある。