ニカラグアに生まれ、米国で5歳からピアノを始め、日本を経てベルリンに留学し、数々のコンクールで1位を獲得した青柳の最新録音。欧米各地で活躍後、2006年に日本で開始したリサイタル・シリーズ「リストのいる部屋」で名声を決定づけ、23年に17回のシリーズを完結した国際派の名手が、新たに挑む近代フランス音楽─ドビュッシー─を、清新かつ丁寧に表現。冒頭の「アラベスク第1番」から瑞々しい分散和音が広がり、透明でいながら柔らかさや力強さをも有する精彩に富んだ音楽世界が続いていく。中でも、ニュアンス豊かな「版画」は聴きものだ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2026年7月号より)
【information】
CD『白と黒の彼方へ──ドビュッシー ピアノ作品選/青柳晋』
ドビュッシー:アラベスク第1番、映像 第1集、子供の領分、版画、レントより遅く、喜びの島
青柳晋(ピアノ)
フォンテック
FOCD9933 ¥3300(税込)

柴田克彦 Katsuhiko Shibata
福岡県生まれ。音楽マネージメント勤務を経て、フリーの音楽ライター・評論家&編集者となる。雑誌、コンサート・プログラム、Web、宣伝媒体、CDブックレットへの、取材・紹介記事や曲目解説等の寄稿、プログラム等の編集業務を行うほか、講演や講座も受け持つなど、幅広く活動中。著書に『山本直純と小澤征爾』(朝日新書)、 『1曲1分でわかる! 吹奏楽編曲されているクラシック名曲集』(音楽之友社)。


