ウィリアム・カーロス・ウィリアムズの詩に触発され「砂漠」をモティーフに原爆という人類の負の歴史に踏み込んだライヒ畢生の大作、「砂漠の音楽」。久石譲が「9.11」同時多発テロの衝撃から発想した「The End of the World」。ミニマル・ミュージックの巨匠二人が社会と対峙した2つの作品の、必然の出会いである。永劫回帰の時間軸から人類の罪を俯瞰するライヒ作品(作曲者の自作自演より演奏の緊迫感が高い)と、惨禍を受け止め深淵に沈んだのち希望へと向かう久石作品が、みごとな対比を成しつつ連帯している。オーケストラも合唱も独唱も、両作品のメッセージを現代にアクチュアルに響かせている。
文:矢澤孝樹
(ぶらあぼ2026年7月号より)
【information】
CD『Joe Hisaishi Conducts/久石譲&FUTURE ORCHESTRA CLASSICS』
ライヒ:砂漠の音楽/久石譲:The End of the World
久石譲(指揮)
FUTURE ORCHESTRA CLASSICS
エラ・テイラー(ソプラノ)
東京混声合唱団
収録:2024年7・8月、サントリーホール(ライブ)
ユニバーサル ミュージック
UMCK-1790 ¥3520(税込)

矢澤孝樹 Takaki Yazawa
1969年山梨県塩山市(現・甲州市)生。慶應義塾大学文学部卒。水戸芸術館音楽部門主任学芸員を経て現在ニューロン製菓(株)及び(株)アンデ代表取締役社長。並行して音楽評論活動を行い、『レコード芸術online』『音楽の友』『モーストリークラシック』『ぶらあぼ』『CDジャーナル』にレギュラー執筆。朝日新聞クラシックCD評選者および執筆者。CD及び演奏会解説多数。著書に『マタイ受難曲』(音楽之友社)。ほか共著多数。


