菊池洋子のピアノ協奏曲全集第3弾。菊池のピアノは端正で洗練した解釈で聴き応えがある。ピアノ協奏曲第5番は、冒頭のカデンツァから磨かれたタッチで、とても美しい。山下一史指揮・大阪交響楽団は、行進曲風主題でリズムの切れ味よく前進駆動する。トゥッティの響きも充実して聴き応えがある。展開部の頂点で、菊池とオケが激しく和音をぶつけ合う所は息を呑むほど。緩徐楽章のピアノの瞑想的な美、終楽章の生き生きとした躍動感など、名曲の名演といえる。第1番では両端楽章のグールドのカデンツァが、対位法的に凝っていて、とても面白い。他の部分も極めて魅力的な演奏である。
文:横原千史
(ぶらあぼ2026年8月号より)
【information】
CD『菊池洋子&山下一史・大阪交響楽団のベートーヴェン・ピアノ協奏曲全集 Vol.3』
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番ハ長調(グレン・グールドのカデンツァ)、ピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」
菊池洋子(ピアノ)
山下一史(指揮)
大阪交響楽団
収録:2025年9月
大阪/ザ・シンフォニーホール(ライブ)
キングレコード
KICC-1653 ¥3300(税込)



