第9回仙台国際音楽コンクール ピアノ部門優勝はエリザヴェータ・ウクラインスカヤ、最年少・天野薫は第3位に

浜離宮

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 6月28日、第9回仙台国際音楽コンクール ピアノ部門(審査委員長:野平一郎)の審査結果が発表され、エリザヴェータ・ウクラインスカヤ(ロシア)が優勝した。第2位はロシアのアレクサンドル・クリチコ、第3位は日本の天野薫。

左より:エリザヴェータ・ウクラインスカヤ(第1位)、アレクサンドル・クリチコ(第2位)、天野薫(第3位)

第9回仙台国際音楽コンクール ピアノ部門

第1位:エリザヴェータ・ウクラインスカヤ Elizaveta UKRAINSKAIA(ロシア)
第2位:アレクサンドル・クリチコ Aleksandr KLIUCHKO(ロシア)
第3位:天野薫 AMANO Kaoru(日本)
第4位:ユリアン・ガスト Julian GAST(ドイツ)
第5位:島多璃音 SHIMATA Riito(日本)
第6位:ヤン・ニコヴィッチ Jan NIKOVICH(クロアチア)

左より:ユリアン・ガスト(第4位)、島多璃音(第5位)、ヤン・ニコヴィッチ(第6位)

 第1位に輝いたエリザヴェータ・ウクラインスカヤは1996年生まれ、サンクトペテルブルク音楽院でアレクサンドル・サンドレルに師事。ファイナルのチャイコフスキーの協奏曲第1番では、安定感のある端正な、かつ抒情性に満ちた演奏に、客席からは歓声と大きな拍手が湧き起こった。賞金300万円に加え、最高位入賞者への副賞として、仙台フィルハーモニー管弦楽団または日本の代表的なオーケストラとの共演、リサイタル出演やCD制作の機会が贈られる。

エリザヴェータ・ウクラインスカヤ

 第2位のアレクサンドル・クリチコは2000年生まれ、同国の名教師、パーヴェル・ネルセシアン、レナ・シェレシェフスカヤらに師事。ファイナルで演奏したラフマニノフ第3番では、鮮烈な技巧に裏打ちされたエネルギー溢れる快演をみせた。

アレクサンドル・クリチコ

 第3位、最年少入賞を果たした天野薫は2013年生まれ、11歳の小学6年生。2024年のピティナ・ピアノコンペティション Pre特級で銅賞を受賞し話題を呼んだ。ファイナルで矢代秋雄の協奏曲を選択したことでも注目を集め、本コンクールの課題の核となるモーツァルト作品では溌剌とした表情豊かな演奏を披露した。

天野薫

 天野と並びファイナリストに選出された日本勢、島多璃音は第5位に。2001年生まれ、現在フランスのリヨン国立高等音楽・舞踊学校で学んでいる。ファイナル・リストの協奏曲第1番は堂に入った力強い熱演で、会場を大いに沸かせた。

島多璃音

 セミファイナルの開催日ごとに聴衆の投票で決定する聴衆賞は、エリザヴェータ・ウクラインスカヤ(6/20)、アレクサンドル・クリチコ(6/21)、天野薫(6/22)と上位入賞者が受賞。また、セミファイナルに出場し、ファイナルに進出できなかった者のうち注目すべき才能を示した出場者に贈られる審査委員奨励賞には、ペ・ジヌ(韓国)が選出された。

ペ・ジヌ

 ファイナル翌日に行われる入賞者記念ガラコンサートでは、上位3名が高関健指揮・仙台フィルとの共演で、以下の曲目を演奏。

天野薫/モーツァルト:ピアノ協奏曲 ト長調 K453
アレクサンドル・クリチコ/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調
エリザヴェータ・ウクラインスカヤ/チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 op.23

 アーカイブは同コンクールのYouTubeチャンネルにて視聴可能。また、エリザヴェータ・ウクラインスカヤは今年の冬に浜離宮朝日ホールでの優勝記念リサイタルに出演が予定されている。

文:編集部
写真提供:仙台国際音楽コンクール事務局


第9回仙台国際音楽コンクール
https://simc.jp/9th_competition/