INTERVIEW 岳永徳&角田鋼亮

この夏、弘法大師 空海をテーマにした大曲が大阪と香川で披露される。その名も交響曲「空海」。2023年に中国 蘭州で初演、同年、京都・東京で日本初演し、さらにイギリスとニュージーランドでも演奏されるなど、世界中の人々を魅了している。観客からは「非常にドラマティックで、空海の壮大な生涯を雄弁に物語っている」と称賛の声があがる。
この曲は6つの楽章からなり、空海の誕生と若き日の修行、海を越えての入唐と密教の法脈の承継、帰国後の布教活動、入定とその悲願を描く、合唱つきで約90分の大作である。
プロジェクトのプロデューサーを務めるのは、この曲の生みの親でもある岳永徳という中国のビジネスマンだ。工業ソフトウェアの開発を手がける北京大通恵徳有限公司という企業の創設者兼会長であると同時に、東洋の伝統文化を伝承・発信し、優れた作品を世に送り出すことを目的とする、北京天鼓之音文化伝媒有限公司という非営利団体の代表も務めている。
「交響曲『空海』のプロデューサーを務めたことで、クラシックの奥深い魅力に気がつきました。このプロジェクトを通じて、空海が私をクラシック音楽の世界へと導いてくださったように思います。また、ひとりでも多くの皆さまに空海の偉大さ、そしてこの交響曲の魅力を体感していただきたいです。ご招待枠を設けましたので、ぜひ奮ってご応募ください」

今回の公演は、角田鋼亮指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団、中国中央音楽学院合唱団の演奏によって行われる。角田は、この機会を得たことに縁を感じるという。
「私が学んだ東海中学校・高等学校は浄土宗の学校なので、週一回仏教の授業がありました。もちろん法然の教えを主に学ぶのですが、仏教の成り立ちも勉強するので、空海についても教わりました。また、昨年高野山で東京フィルハーモニー交響楽団と演奏する機会があり、その荘厳な空気にも感銘を受けました。今回ご縁をいただいて交響曲『空海』にたずさわれることを嬉しく思います」
音楽の魅力については、次のように語る。
「この作品の作曲家 邹野(ゾウ・イエ)先生は映画音楽なども手がけられているので、メロディもとても耳なじみが良く、和声もきれいでオーケストレーションも効果的。構成もはっきりしているので、非常に親しみやすい作品です。冒頭の何もないところから物語が生まれる部分では、ベートーヴェンの『第九』やブルックナーの交響曲のような雰囲気があります。また、海を渡るところでは『シェエラザード』のような響きが出てきたり、諦観を示す部分はマーラーの交響曲を想わせます。様々な西洋の名曲にも通じているとともに、この音楽そのものが、中国と日本の文化交流のようにも感じられます。音楽は好きだけれど、空海はあまり知らないという方にも親しみやすい作品ですし、空海をきっかけに聴きに来てくださる方には、音楽の面白さを感じていただける機会になると思います。ぜひ、多くの方に聴いてほしい作品です」
取材・文:山崎浩太郎
(ぶらあぼ2025年6月号より)
遍照金剛 皆共同行
—— 交響曲「空海」演奏会
2025.7/9(水)19:00 大阪/ザ・シンフォニーホール
7/11(金)19:00 レクザムホール(香川県県民ホール)
出演
角田鋼亮(指揮)
大阪フィルハーモニー交響楽団
中国中央音楽学院合唱団
曲目
邹野(ゾウ・イエ):交響曲「空海」
問:KAJIMOTO kukai-concert2025@kajimotomusic.com
https://kukai-concert2025.com
抽選で各会場1500名をご招待
[応募要項]
応募締切/6/20(金)18:00
応募条件/ご応募は、ご同伴者を含めておひとり様1回まで。1件につき4名様までお申し込み可能。未就学児入場不可。
応募方法/上記のボタンから特設サイトにアクセスし、必要事項を入力。
当選発表/厳正な抽選のうえ当選者を決定、結果はメールにて発表(6月下旬を予定)。
※@kukai-concert2025.comからの返信メールを受信できるように設定してください。
※公演当日、会場受付にて当選メールをご提示ください。