世界のオペラファンが憧れる、夏の二大音楽祭
——ヴェローナ&ザルツブルク音楽祭を巡る10日間の旅

ヴェローナ音楽祭の会場アレーナ・ディ・ヴェローナ(円形闘技場)
Photo Ennevi. Courtesy of FAV(Verona Arena Foundation)

文:中村真人(音楽ジャーナリスト/ベルリン在住)

 この8月に郵船トラベルが企画するツアーは、10日間でイタリアとオーストリアの二大音楽都市をめぐる夢のような旅だ。まず、2000年超の歴史を誇る円形闘技場で開催される世界最大規模の野外オペラ祭であるヴェローナ音楽祭。そして、モーツァルト生誕の地で毎夏繰り広げられる、言わずと知れたザルツブルク音楽祭。どちらも世界中の一流アーティストが集結する特別な音楽祭である。

ヴェローナ音楽祭 Photo Ennevi. Courtesy of FAV(Verona Arena Foundation)
ヴェローナ音楽祭 Photo Ennevi. Courtesy of FAV(Verona Arena Foundation)

一生に一度の体験!壮大なロケーションで堪能する《アイーダ》

 ヴェローナ音楽祭では、この野外音楽祭の代表演目であるヴェルディ《アイーダ》を楽しむ。ダニエル・オーレンの指揮、アンナ・ネトレプコ(アイーダ)、ユシフ・エイヴァゾフ(ラダメス)ら、とびきりのスター歌手を揃えた豪華なキャスティングだ。紀元前1世紀に造られた古代ローマの円形闘技場という唯一無二のロケーションのもと、夜空の下で聴く体験は、きっと忘れ得ぬ思い出になるだろう。

ヴェローナ音楽祭《アイーダ》
Photo Ennevi. Courtesy of FAV(Verona Arena Foundation)
Photo Ennevi. Courtesy of FAV(Verona Arena Foundation)
Photo Ennevi. Courtesy of FAV(Verona Arena Foundation)
Photo Ennevi. Courtesy of FAV(Verona Arena Foundation)

ウィーン・フィルで体感する《マクベス》の深淵

 かたやザルツブルク音楽祭は、モーツァルトをはじめとする名作オペラを上演することで知られるが、ここではヴェルディの《マクベス》を鑑賞する。ヴラジスラフ・スリムスキー(マクベス)、アスミク・グリゴリアン(マクベス夫人)など、やはり人気と実力を兼ね備えた当代随一の歌い手が登場する。指揮は、今シーズン限りでウィーン国立歌劇場の音楽監督を退任するフィリップ・ジョルダン。何といっても、あのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団がオーケストラピットに入るのが、この音楽祭でオペラを聴く大きな魅力だろう。ポーランドの鬼才、クシシュトフ・ワルリコフスキによる演出も含め、高い評価を得ているプロダクションだ。

追加手配でさらに豪華に!
ムーティ、バレンボイム、ラン・ランも現地で聴ける!

 上記2公演の鑑賞チケットが確約されているほか、別途手配で聴ける贅沢なプランも用意されている。ザルツブルク祝祭大劇場で行われるウィーン・フィルのマチネーコンサートには、巨匠リッカルド・ムーティが登場。シューベルトの交響曲第4番「悲劇的」とブルックナーのミサ曲第3番という、このコンビでこそ聴きたいウィーンゆかりの2人の作曲家によるプログラムだ。ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団の公演では、楽団の創設者であるダニエル・バレンボイムがベートーヴェンの「英雄」交響曲を指揮するほか、スターピアニストのラン・ランがメンデルスゾーンのピアノ協奏曲第1番を弾く。どちらのコンサートも垂涎のラインナップと言えるだろう。
 さらに、ヴェローナ音楽祭でもうひとつ代名詞的な演目となっているヴェルディの《ナブッコ》のほか、インスブルック滞在中には当地で開催される古楽音楽祭で18世紀イタリアの作曲家トラエッタのオペラ《タウリスのイフィゲニア》というレアな演目をオプショナルで楽しむことも可能だ。

観光も充実!ロミオとジュリエットの町からモーツァルトゆかりの地まで

 ヴェローナからザルツブルクまでの旅の道のりも魅力的だ。ヴェローナは、街全体が中世の面影を残した美しい古都。サンピエトロの丘から、アディジェ川の向こうに広がる旧市街の眺望は本当に素晴らしい。シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の悲劇の舞台としても知られ、ジュリエットの家も観光名所になっている。南チロルのボルツァーノは、イタリア語とドイツ語の2つの文化圏が交わる街で、ドイツ名のボーツェンでも知られる。そこからのブレンナー峠越えは、車窓から雄大な眺めを楽しめるだろう。インスブルックは、かつてモーツァルトやゲーテもイタリア旅行の際に通った峠越えの中継地点。ボルツァーノからザルツブルクに至る都市は、20世紀初頭まで同じハプスブルク帝国に属していたので、数々の名曲が生まれた文化的背景を体感する上でも興味深い旅になるだろう。

サンピエトロの丘から望むアディジェ川
ジュリエットの家
ボルツァーノ大聖堂
アンブラス城(インスブルック)

オペラも街歩きも、ゆったり楽しめるプレミアムツアー

 多くのクラシック音楽のファンにとって、ザルツブルク音楽祭を現地で体験することは至福の時間だ。ホーエンザルツブルク城を背景にした絵画のような街並み、開演前の祝祭劇場の華やかな雰囲気と超一流のアーティストたちによる熱い舞台、この街に生まれたモーツァルトの息吹……。それらを一度に味わえるのだから。
 ザルツブルクは、20世紀を象徴する大指揮者、ヘルベルト・フォン・カラヤンの生まれ故郷でもある。オプショナルツアーで、カラヤンが晩年まで住んでいたアニフ村の人気レストランでの昼食も用意されている。
 盛りだくさんの内容でありながら、音楽鑑賞を楽しむことを優先して無理のないスケジュールが組まれている。面倒な手続きは一切不要。オペラやオーケストラの本物の舞台とともに、ヨーロッパの文化・美しい街並みを味わいたい方にはぜひおすすめだ。

観客で賑わうザルツブルク祝祭大劇場前
ミラベル庭園(ザルツブルク)
アニフ村

郵船トラベル
夏の音楽祭めぐり!ヴェローナ&ザルツブルク10日間

<2025年8月8日出発>
旅行期間:2025.8/8(金)~8/17(日)
出発地:東京
日数:10日間

スケジュール(クリックして詳細を表示)

◎:入場観光 〇:下車観光 ★:オプショナルツアー
●8/8(土)
羽田発(11:45)フランクフルト乗り継ぎにてミラノへ
ミラノ(リナーテ空港)着(22:15) 、専用バスにてヴェローナへ(所要約2時間10分)
ホテルにチェックイン

●8/9(土)
9:30 ヴェローナ観光(○シニョーリ広場、○ジュリエッタの家、○アレーナなど)
13:30自由行動

●8/10 (日)
自由行動
★ マントヴァ観光(昼食付9:00~15:30)
【鑑賞】ヴェルディ《アイーダ》(21:00開演 アレーナ・ディ・ヴェローナ)

●8/11(月)
9:00 専用バスにてボルツァーノへ(所要約2時間15分)
11:15 ボルツァーノ観光(◎大聖堂、○ヴァルター広場)
13:45 昼食後、専用バスにて、インスブルックへ(所要約2時間)
15:45 インスブルック観光(◎アンブラス城)
16:45 専用バスにて、ホテルへ(所要約15分)
17:00 ホテルにチェックイン

●8/12(火)
9:00 インスブルック観光(○黄金の小屋根、○王宮、◎宮廷教会、◎聖ヤコブ教会など)
11:30 自由行動

●8/13(水)
8:30 専用バスにてザルツブルクへ(所要約3時間)
12:00 昼食
14:00 ザルツブルク観光(○ミラベル庭園、○モーツァルトの生家、◎大聖堂、○モーツァルトの住居など)
17:00 ホテルにチェックイン

●8/14(木)
自由行動
★「アニフ村」のレストランで昼食(12:00~15:00)
【鑑賞】ヴェルディ《マクベス》(19:00開演 祝祭大劇場)

●8/15(金)
自由行動

●8/16(土)
8:00 ホテルを出発、専用バスにて空港へ(所要約30分)
ザルツブルク発(10:30)→フランクフルト乗り継ぎにて帰国

●8/17(日)
羽田着(9:50)


問:郵船トラベル 音楽・美術ツアー専用デスク03-6774-7940
https://www.ytk.jp/music/