角野隼斗が語る「Apple Music Classical」

右:角野隼斗

 3月22日、Apple 表参道で行われたイベント「Today at Apple」にピアニストの角野隼斗が登場した。
 「Today at Apple」は、Apple製品の基本的な使い方を学ぶことができる講座で、各地のApple Storeやオンラインで実施されている。この日は、今年1月に提供が開始されたクラシック音楽専用の新しいアプリケーション「Apple Music Classical」のアンバサダーを務める角野が、アプリの魅力を語った。

 「Apple Music Classical」は、Apple Musicのサブスクリプション登録者であれば追加費用なしで利用できる独立したアプリ。500万以上の楽曲をそろえたこの分野最大級のカタログから、研究チームが7年以上の歳月をかけて作成したメタデータをもとに、作曲者、作品名、楽器、時代などのキーワードから特定の音源にアクセスが可能。
 日本のアンバサダーは角野の他、指揮者の佐渡裕、ギタリストの村治佳織が務めている。

 冒頭、会場に姿を現した角野はピアノに向かい、バッハのイタリア協奏曲から第1楽章、第3楽章を披露。演奏後には客席を埋め尽くした観客から歓声とともに大きな拍手が送られ、イベントはスタートした。

 角野はアンバサダー就任について「お話をいただいた時は本当に嬉しかった。このジャンルは年齢層が高いと言われ不安も感じるが、伝統的な音楽を次の時代にも引き継いで、クラシック音楽の輪を少しでも広げられるように取り組みたい」と意気込みを語った。

 また、「Apple Music Classical」への期待は尽きないという。

「同じ曲に対して録音がたくさんあるのがこのジャンルの特徴。自分が演奏する時も、他の演奏家の解釈を参考にすることがあるが、そんな時にこのアプリをとても重宝している。

 作品名や作曲者はもちろん、楽器や時代からも録音を探すことができ、このアプリを使っていると、自分が知らない曲がまだたくさんあることを実感する。
 指揮者で検索することもできて、例えばバーンスタインは、指揮者として残した音源と、作曲家としての作品が録音された音源を同じ画面で見ることができ、彼の二面性を実感する」

 最大192kHz/24bitのハイレゾロスレス、ドルビーアトモスによる空間オーディオもこのアプリの大きな特徴。
 同日公開された、角野の演奏楽曲によるプレイリストもこの音質に対応。プレイリストは下記の3曲で構成されており、スタインウェイのアップライトピアノを弾いてレコーディングされたという。

バッハ:「主よ、人の望みの喜びよ」(カンタータ第147番 BWV147 より)
角野隼斗:「追憶」
スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K.9

 イベントでは登場時以外にも演奏を披露。途中、マイクトラブルのハプニングが起きた場面では、急遽ショパン「小犬のワルツ」を即興もまじえて弾き、会場の空気を和ませた。そのほか「主よ、人の望みの喜びよ」や、自作の「胎動」と盛りだくさんの内容で、イベントの開催に華を添えた。

写真提供:アップル

Apple Music Classical
https://apps.apple.com/app/id1598433714