アンジェラ・ヒューイット(ピアノ)

 ©Bernd Eberle

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 アンジェラ・ヒューイットといえばバッハ、という印象が強いかもしれない。
 たしかに彼女は最新作の「フーガの技法」など、バッハの作品を多数CDに録音し、いずれも高く評価されてきた。それに、グレン・グールドと同じカナダのトロント王立音楽院出身という経歴も(演奏スタイルはかなり異なるが)そう思わせてしまうかも知れない。
 しかし、たとえば昨年12月の読売日本交響楽団の定期で、シルヴァン・カンブルランの指揮のもとメシアンの「トゥーランガリラ交響曲」のピアノ・パートを担当、スケールの大きな熱演を力強く聴かせたことが示すように、近現代の作品、とりわけフランス音楽も大いに得意とするピアニストなのだ。
 ラヴェルやシャブリエの華麗で技巧的な曲を軽やかにひきこなしつつ、バッハの抽象化された“音の建築物”を見事につむぎだす。ヒューイットはそのような、多面性をもったピアニストなのである。
 この2夜連続公演は、まさにその個性を聴かせてくれる。第1夜(4/27)はスペイン音楽。イタリア生れだが長くスペイン王家の宮廷で活躍したスカルラッティを入り口に、グラナドス、アルベニス、ファリャと、近代ピアノ音楽の庭園へと導いてくれる。そして第2夜(4/28)は、スカルラッティと同じ年に生れたバッハ作品のなかから、とりわけ人気の高い「ゴルトベルク変奏曲」。イタリアに発してスペインとドイツに花開く、鍵盤音楽の伝播を楽しめるプログラムだ。
文:山崎浩太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年2月号から)

第1夜 4/27(月)19:00
第2夜 4/28(火)19:00
王子ホール
問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990
http://www.ojihall.jp