東京シティ・フィル2025年の幕開けは、常任指揮者・高関が描く「夜の歌」

左:高関 健 ©大窪道治
右:奥井紫麻 ©Takahiro Watanabe

 9月のブルックナー、10月のスメタナと高関健による意欲的な演奏が続く東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の定期演奏会。楽団創立50年を迎える2025年最初の定期となる1月17日の第375回には、ロシアで学びヨーロッパで活躍する注目のピアニスト・奥井紫麻(2004年生まれ)が登場し、さらにはマーラーの大曲、交響曲第7番が高関の指揮により演奏される。

 奥井はモスクワ音楽院付属中央音楽学校を経てグネーシン特別音楽学校でタチアナ・ゼリクマンに師事。さらにジュネーヴ高等音楽院のネルソン・ゲルナーのもとで学んでいる。9歳から世界各国の音楽祭に招かれ、数々のコンクールを制覇しつつ、ロシア国内のオーケストラだけでなく、日本の楽団とも共演してきた。今回彼女が取り上げるのはサン=サーンスのピアノ協奏曲第2番(1868年初演)。リストが高く評価したことで知られるロマン派の代表的傑作を、若い奥井がどんな視点から表現するかに期待が高まる。

 そして、作曲家の深い音楽的意図を残された楽譜から読み取り、新しい展望を開いてくれる高関にも期待したい。「夜の歌」と呼ばれることも多いマーラーの交響曲第7番だが、書かれたスコアは複雑、かつ重厚で、そこにマーラー自身の音楽史的な視点も投影されたかのような複雑な音の世界が秘められている。膨大な情報を処理しながら指揮する高関の音楽作りによって、また新しいマーラーの表情を見ることができるに違いない。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2024年11月号より)

高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
第375回 定期演奏会
2025.1/17(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 

https://www.cityphil.jp