ピエタリ・インキネンが日本フィルに凱旋、待望の「アルプス交響曲」を披露!

左:ピエタリ・インキネン ©Mechthild Schneider
右:神尾真由子 ©Makoto Kamiya

 ピエタリ・インキネンが日本フィルの指揮台に帰ってくる。彼は、2009年から同楽団と関係を持ち、16〜23年には首席指揮者を務めて数多の名演を残した。23年5月が最後のコラボだったので、今回は1年半ぶりにして離任後初の共演。まずはこれだけでも期待値が高い。インキネンは、様々な楽団のシェフを歴任し、コンセルトヘボウ管、バイエルン放送響、クリーヴランド管等に客演している世界的指揮者だが、何と言っても23年バイロイト音楽祭の《ニーベルングの指環》で賞賛された実績が光る。そこでひと回り大きくなった彼が、この凱旋&再会公演でいかなる音楽を聴かせるか? 実に楽しみだ。

 演目ではまずR.シュトラウスの大作「アルプス交響曲」が目をひく。オルガンや舞台外のホルン隊、数々の打楽器をはじめとする同曲の巨大管弦楽に身を浸すこと自体が、生演奏でこその醍醐味。しかもインキネン&日本フィルは《ラインの黄金》、「クレルヴォ交響曲」等の大作で絶大な成果をあげているし、同曲は21年の演奏予定がコロナ禍で叶わなかった念願の演目でもある。これらに《指環》での自信が加わった今回は当然聴き逃せない。

 前半はグラズノフのヴァイオリン協奏曲。ロマン性や抒情美と民族的な色彩感を併せ持つ、近代ロシア屈指の重要作だ。ここは、成熟度や深みを増した名手・神尾真由子のソロも相まって、生演奏の少ない名作の真価を堪能できるに違いない。加えて、ヴァイオリニストでもあるインキネンと神尾は名匠ブロンの同門ゆえに、二人の対話も聴きものとなる。これは見どころ満載の注目公演だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2024年11月号より)

ピエタリ・インキネン(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団
第402回 横浜定期演奏会

2024.11/23(土・祝)17:00 横浜みなとみらいホール
第408回 名曲コンサート
2024.11/24(日)14:00 サントリーホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911
https://japanphil.or.jp