東響10月の定期は、ウルバンスキが振るロシア・プログラム

左:クシシュトフ・ウルバンスキ ©Marco Borggreve
右:デヤン・ラツィック ©Lin Gothoni

 10月の東京交響楽団定期は、クシシュトフ・ウルバンスキ(指揮)、デヤン・ラツィック(ピアノ)という個性派の登場。1982年ポーランド生まれのウルバンスキは、インディアナポリス響等のポストを歴任し、ベルリン・フィルをはじめ世界各地の著名楽団に客演を続ける実力者で、東響でも2013〜16年に首席客演指揮者を務めて好評を博している。シャープな切り口で生き生きと表出されるその音楽はいつもフレッシュ。特に23年4月東響との「新世界より」では、聴き慣れた名作の清新な表現で皆を驚嘆させた。1977年現クロアチア生まれのラツィックは、13歳で協奏曲を披露後西欧で活躍し、チャンネル・クラシックスに録音したCDで才能を印象付けた。研ぎ澄まされた感性で音楽の本質を自然に聴かせるセンス抜群の名手だけに、約15年ぶりの東京登場となる今回の演奏がすこぶる楽しみだ。

 演目はまずラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。あのキリル・ペトレンコの指揮で当曲を録音し、エコークラシック賞を受賞しているラツィックなら、このロマンティックな名曲の隠れた魅力を感知させてくれるに違いない。後半はショスタコーヴィチの交響曲第6番。シリアスな緩徐楽章から爽やかなスケルツォを経て陽気なフィナーレに至る変則構成の本作は、約30分の意外に親しみやすい音楽だ。ウルバンスキは、18年にNDRエルプフィルとのCDで第5番、19年に東響の公演で第4番と同作曲家の交響曲の快演を聴かせているので、今回への期待も大きい。これは、“何かが起こりそう”な、ライブ感満点の公演だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2024年10月号より)

第725回 定期演奏会
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川崎定期演奏会 第97回
10/13(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
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